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[社説]野党陣営をまとめて「共産全体主義」、またも二分法の尹大統領の光復節祝辞

登録:2023-08-16 00:09 修正:2023-08-16 07:22
尹錫悦大統領が15日、ソウル西大門区の梨花女子大学大講堂で行われた第78周年光復節慶祝式で祝辞を述べている=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が15日、光復節の祝辞で「共産全体主義勢力が民主主義運動家、人権運動家、進歩主義行動家に偽装し、虚偽扇動と下品で破倫的な工作を事としてきた」と述べた。誰が見ても自らに批判的な野党とメディアをまとめて標的にしたものだ。尹大統領は以前にも何度も似たような趣旨の発言で「分断」扇動を行っているが、その時よりさらに露骨に敵対意識をあらわにした。

 尹大統領は今年で78周年を迎えた光復節よりも休戦70周年に焦点を合わせ、言いたい放題だった。「共産全体主義に盲従し、でっち上げ扇動で世論を歪曲し、社会をかく乱する反国家勢力」が「自由社会が保障する法的権利を十分に利用して自由社会をかく乱し、攻撃してきた」と述べたのだ。その部分を読み上げた時、大統領はひどく怒った人のように見えた。最近だけでも福島第一原発の汚染水、楊平(ヤンピョン)高速道路、豪雨による五松(オソン)浸水惨事、放送通信委員長指名、ジャンボリー失敗などで政府与党に多くの批判が集中している。ほとんどは自ら招いたのだから、多少納得がいかなくても甘んじて受け入れるべきだ。さらに国政の最高責任者なら、妥当であろうと不当にみえようと批判に謙虚に耳を傾けて省察し、反映すべき点があるかを考えるのが基本だ。

 しかし、尹大統領には全くそのつもりがないようにみえる。自分と政府与党がしたことは全て正しく、自由と民主主義を守るためのものだ。だから、それを批判する野党と市民社会団体は「共産全体主義」や「反国家勢力」に過ぎない。尹錫悦政権に批判的ならすなわち自由と民主主義の敵だという、典型的な善悪二分法だ。このように偏狭で独善的な二分法は、過去の権威主義時代の政権者などが好んで駆使したものだ。尹大統領はこれまで何度も同じ趣旨の発言を繰り返してきた。4・19革命記念式では、自身と政府に対する批判を「虚偽扇動」、「フェイクニュース」と罵倒した。それによって多くの批判を受けたにもかかわらず、さらに頑固で強硬になった。今後もこのようなあり方なら、野党との対話や協治などを期待するのは困難だ。

 国民統合を強調しても足りない光復節に理念対決の亡霊を招いたという点でも、今回の祝辞は非常に不適切だ。昨年3月の大統領選挙での勝利を、就任前の尹大統領は「国民を敵味方に分けることなく統合の政治をせよという国民の切実な訴え」と意味づけている。同じ人物の発言なのか疑念がわくほどだ。あの時の「初心」と今の態度がどれほどかけ離れているのか自問してみてほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1104415.html韓国語原文入力:2023-08-15 18:13
訳D.K

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