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[コラム]韓国は「外国人家政婦」を雇おうというのか

登録:2023-05-30 02:50 修正:2023-05-30 15:03
家事労働者求ム、資格:外国人、条件:最低賃金×=キム・ジェウク画伯//ハンギョレ新聞社

 1983年4月からの1年間、日本のNHKで放送された「おしん」は、日本のテレビ史上最高の視聴率を記録(62.9%)したドラマだ。1901年に貧しい小作農の娘として生まれたおしんが、1907年に製材所を営む一家に米1俵で売られ、「女中」として生活するために旅立つところから物語は始まる。スーパーマーケットのチェーン店を経営するようになるまでのおしんの人生は小説化され、韓国でも翻訳出版された。韓国放送(KBS)は同名のドラマを制作して放送した。

 日本人は「女中」を韓国にも持ち込んだ。強制合併後、朝鮮半島に本格進出した日本人の家庭の主婦たちが、家事労働に朝鮮人女性を雇用して使い始めたのだ。裕福な朝鮮人の家庭も女中を雇ったが、日本語が話せて日本の家庭に雇われると給与が倍だったという。1938年には2万7014人いた女性求職者中、女中として就業した人が2万3527人(87%)に達するほど、女中はその時代の女性雇用の大半を占めた(チョン・チャニル『サムスニ:女中、バス案内嬢、女工』)。

 朝鮮戦争後、人々が都市に集中しだした時代、都市の家庭の女中雇用はより急速に拡大した。貧しい農村では「口減らし」のために娘たちを学校に行かせず、幼いうちに奉公に出した。寝食が解決される女中の働き口が彼女たちを迎えた。1969年には、ソウルの家庭の53%に女中がいた。当時、30坪台のマンションには台所の隣に2坪ほどの小さな女中部屋がついていたほどだ。女中は低報酬で、侮蔑、殴打、ときには性暴力の被害者になったりもした。工業化が進み、女性の雇用も増えたことで、1970年代半ばから女中は激減した。女性の人権の向上も、女中を次第に減少させた。家事労働者の名称も家庭管理員、家政婦、家事補助員、家事ヘルパーへと変化していった。

 いま、外国人家事労働者の導入に向けた動きが急速に進んでいる。ソウル市のオ・セフン市長による昨年の導入提案、野党「時代転換」のチョ・ジョンフン議員による今年3月の最低賃金法適用排除法案上程に続き、先日は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がモデル事業導入を検討するよう注文した。「低賃金」の魅力を強調したものだ。まるで「外国人女中」を雇おうということのようだ。モデルとなったシンガポールでは1978年から外国人家事手伝いを雇用しているが、少子化対策として始めたわけではなかった。合計特殊出生率も上がっていない。しかし制度導入の推進者たちは、それが唯一の「少子化解決策」であるかのように繰り返し唱えはじめている。

チョン・ナムグ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1093727.html韓国語原文入力:2023-05-29 16:55
訳D.K

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