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[社説]歴史問題に対する明確な謝罪なしに「未来」だけ強調した韓日会談

登録:2023-05-08 00:53 修正:2023-05-08 08:47
尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相が7日、ソウル龍山の大統領室庁舎で開かれた共同記者会見が終わった後、握手している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と日本の岸田文雄首相は7日、ソウルで韓日首脳会談を開き、韓米日安保協力の強化など両国の「未来協力」を改めて強調した。関心を集めた過去の歴史問題について、岸田首相は強制動員被害者に「大変苦しい、悲しい思いをされたことに胸が痛む思いだ」としながらも、政府レベルの反省と謝罪のメッセージは表明しなかった。最小限の「誠意のしるし」として評価できるが、「コップの残り半分」を満たすには依然として足りない。

 岸田首相は同日の共同記者会見で、「3月の尹大統領の訪日の際、1998年10月に発表された日韓共同宣言を含め歴史問題に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいると明確に申し上げた」と述べた。「歴代内閣の立場」には「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」という安倍談話も含まれるだけに、これを謝罪とはみなせないというのが大方の見解だ。ただし、岸田首相は、私見を前提に強制動員被害者に遺憾の意を表した。両国首脳は今月末に広島で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)を機に、韓国人原爆犠牲者慰霊碑を一緒に訪問することで合意した。一部進展はあるものの、韓国が期待した「誠意ある呼応」とは程遠い。にもかかわらず尹大統領は「(過去の歴史問題は)真摯に取り組むのが重要であって、どちらか一方に要求できる問題ではないと思う」と述べ、日本の立場を擁護した。

 過去の歴史問題の代わりに両国首脳が強調したのは、経済と安保における協力だ。尹大統領は記者会見で韓米核協議グループ(NCG)の構築を盛り込んだ「ワシントン宣言」について、「日本の参加を排除しない」と述べた。韓米拡大抑止の強化をめぐる論議に日本が参加する可能性を残し、「類似同盟」レベルの軍事的密着に拍車をかけた。

 両国首脳はこの日、福島原発汚染水の海洋放出に関して、韓国側の専門家の現場派遣及び視察に合意した。韓国専門家の現場視察は、汚染水問題を自主検証する機会が設けられたという面では肯定的だ。ただ、放出問題に実質的に介入できる水準ではないため、日本政府の名分づくりに利用されかねないという指摘にも留意しなければならない。

 今回の韓日首脳会談は12年ぶりに日本首相が2国間会談のために訪韓し、「シャトル外交」の復元を対外的に知らせた場となった。両国首脳は「未来」を前面に押し出し、経済・安保協力を掲げたが、過去の歴史問題は歴史的不正義を正す問題であるだけに、無条件に伏せていく事案ではない。発展的な韓日関係は明確な歴史認識から始まるということを忘れてはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1090810.html韓国語原文入力:2023-05-07 21:44
訳H.J

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