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[社説]訪日「手ぶら帰国」批判さえ政争のレッテル貼る尹大統領

登録:2023-03-22 05:40 修正:2023-03-22 07:39
尹錫悦大統領が21日、ソウル龍山の大統領室庁舎で国務会議を主宰している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が21日の国務会議で、20分あまりにわたって今回の韓日首脳会談の正当性と成果を一方的に強調する発言をした。日本の要求をすべて受け入れたにもかかわらず、いかなる可視的な相応措置も得られなかった無能外交に対しては、一抹の省察も示さなかった。「日本はすでに数十回にわたって韓国に反省と謝罪を行った」と評価した一方、韓国内部の批判世論に対しては「排他的民族主義と反日を叫ぶことで政治的利益を得ようとする勢力」と述べ、政略だとのレッテルを貼った。多くの国民の失望と怒りに全く耳を傾けない尹大統領の独善と独断は非常に情けない。

 尹大統領は「最高裁(大法院)の強制徴用事件に対する判決は日本の輸出規制などの経済報復につながった」とし、「最高裁判決」が関係悪化の原因だと指摘した。また「前政権が放置したため、両国の安保と経済は深い反目に陥ってしまった」として、お決まりの「前政権のせい」が飛び出した。日本が韓国司法府の判決に対して合理的な対応ではなく輸出規制カードを切ったのは、嫌韓世論に便乗しようとの国内政治的な理由があったことを度外視したものだ。関係悪化をすべて韓国のせいにするとは、尹大統領の自虐的認識がどれほど深いかがうかがわれる。

 尹大統領は、韓国の譲歩で韓日関係が改善されれば莫大な経済的効果がついてくるだろうと述べ、バラ色の展望を示すことに多くの時間を割いた。そして今回も、日本より先に韓国が日本のグループA(旧ホワイト国)の地位を復元するよう政府に指示したと明らかにした。そもそもホワイト国から韓国を排除したのは日本が先で、まだ復元していないのに、またしても韓国が一方的に譲歩することになる。国同士の敵対的措置の解除などは、綿密な調整を通じて同時に行われるのが外交のルールだ。尹大統領は、なぜ特に日本に対してのみそれを破り続けているのか、国民に説明すべきだ。

 尹大統領は自画自賛を並べたてながら、肝心な首脳会談をめぐる国民的疑惑については何の説明も行わなかった。日本が独島(トクト)、慰安婦、福島第一原発の汚染水などの敏感な懸案に言及したという日本メディアの報道が相次いだが、政府は言うことがしばしば変わるなど、曖昧で消極的な対応で一貫している。この日の沈黙で、尹大統領が領土主権と国民の安全のかかった問題についてさえ無対応や低姿勢で済ませたのではないかという疑問はさらに深まった。尹大統領はこれ以上遅れる前に、なぜこのように国民が憤っているのか、一度でも振り返ってほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1084577.html韓国語原文入力:2023-03-21 18:49
訳D.K

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