24日でロシアがウクライナに侵攻して1年になる。その直前である21日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、米国とロシアの核兵器削減条約である「新START」(新戦略兵器削減条約)の履行を停止すると宣言した。「核のカード」を前面に出し米国に圧力をかけようとする戦略であり、この戦争によって国際秩序が1年間で非常に危険な状況に至ったことを示す象徴でもある。
2大核強国である米国とロシア(旧ソ連)は、核戦争を防ぐために1987年から様々な軍縮条約を結んだ。2011年に発効した新STARTは、そのなかで残った唯一の軍縮条約であり、両国が実戦配備する核弾頭数をそれぞれ1550発以下に維持する内容を含んでいる。プーチン大統領はこの日、米国が2019年に別の軍縮条約である中距離核戦力(INF)条約を一方的に破棄したことを口実に挙げた。当時米国は、中国が核軍縮交渉の参加を拒否したまま核兵器とミサイルを急速に増強するのを牽制するためにこの条約を破棄した。結局、米国と中国・ロシア間の信頼不在が、米中の覇権競争とロシアの侵攻につながり、全世界の秩序を揺るがしているのだ。現時点ではまだロシアが新STARTの履行停止を宣言した段階だが、強大国がこのように疾走を続けるのであれば、人類の共倒れを防ぐための“安全弁”である核軍縮と核非拡散システムは崩れることになるだろう。
1年前、ロシアはキーウを速戦即決で占領してウクライナを「属国化」しようとしたが、ウクライナ人の決死の抗戦と西側の支援が続き、失敗した。その後ロシアは、ウクライナの地を最大限奪おうとする作戦を展開し、民間人虐殺を犯し民間施設を狙った無差別攻撃を継続している。
ロシアの侵攻は、「帝国の復活」を掲げた強大国が武力で国境線を変えようとする時代が戻ってきたという恐ろしい警告となった。中立国を維持してきたスウェーデンとフィンランドがNATO(北大西洋条約機構)加盟に乗りだし、ドイツと日本は軍備強化に進んでいる。ロシアと中国、北朝鮮の連帯が強化され、韓米日の軍事協力も速度を上げている。朝鮮半島と台湾をめぐる緊張も高まっている。
戦争の終わりはまだ見えない。ウクライナ人が最も大きな苦痛を味わっており、全世界も多くの負担を抱えている。戦争を1日も早く終わらせ、ウクライナが平和を回復し、強大国が「力で主権国家を思いのままにすることができる」という弱肉強食の状況に進まないよう、国際社会が切実に努力しなければならない時だ。