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[社説]たやすく、そして軽々しく「報復」口にする尹大統領

登録:2023-01-02 00:36 修正:2023-01-02 07:49
尹錫悦大統領が12月29日、大田儒城区にある国防科学研究所を訪問し、無人機の開発状況全般を点検している/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は29日、北朝鮮の無人機による領空侵犯について「確固たるよう懲と報復のみが攻撃と挑発を抑制しうる」と述べた。さらに「不法な戦争に備え、戦争を準備しなければならない」という強硬な発言まで飛び出した。安全保障に対する不安の解消が目的だったとしても、不適切で不用意な発言だ。北朝鮮が最近、様々なかたちで挑発と威嚇を繰り返して朝鮮半島の緊張をいっそう高めている中で、公に「真っ向からの」対応を注文するような発言であり、懸念せざるを得ない。

 尹大統領は29日、国防科学研究所を訪問した際に、決心したかのように強硬な発言を行った。「自衛権の行使は確実かつ断固として行わなければならない」とし、「相手に核があろうが大量破壊兵器があろうが、恐れたりためらったりしてはならない」と強調した。「戦争準備」、「戦争への備え」という言葉もそれぞれ2回繰り返した。撃墜失敗などによる国民の不安の解消、国家安全保障会議(NSC)を直ちに招集しなかったことなどを意識して、意図的に行った強硬発言かもしれないが、だとしても一線を越えてはならない。特に全国民を惨禍に陥れうる「戦争」は、大統領が軽々しく口にしてはならない言葉だ。

 発言が強硬になったからといって、北朝鮮が挑発をやめるはずもない。むしろ彼らの意図に利用される公算が高まるだけだ。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は尹錫悦政権発足直後の6月、党全員会議拡大会議で、対南「対敵闘争」、対米「強対強正面勝負」基調を表明してからというもの、軍事的挑発を強めてきた。この間どれほど多くのミサイルや放射砲が発射されてきたか、いちいち数えることも難しい。金委員長は無人機侵犯直後の27日にも「より一層激昂した闘争戦略を立てる」と述べ、挑発のレベルをさらに高めることを予告した。最後に残された7回目の核実験を正当化するための行動に、韓国が大義名分を与える理由はないのではないか。

 大統領が強調したよう懲と報復は攻撃と挑発の抑制ではなく、ややもすると武力衝突へとつながる危険性が高い。必要以上の武力対応が戦争へと拡大した不幸な例は、人類史に数え切れないほど多く存在する。大統領の刺激的な発言は危機意識をあおり、ただでさえ厳しい経済にも悪影響を及ぼす。軍の統帥権者としての大統領のいちばんの責務は、戦争が起きないよう管理し、それを防止することにある。大統領の発言は「保守結集のための国内政治用」ではないかという疑念を抱かれないよう、もう少し発言を慎むとともに、慎重に対応することが必要だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1073694.html韓国語原文入力:2022-12-29 18:04
訳D.K

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