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[寄稿] 20代と30代の中国認識、違うのか…「韓国MZ世代は反中」正しいのか

登録:2022-12-06 06:55 修正:2023-12-07 09:07
イ・ムニョン|ソウル大学統一平和研究院教授
中国を「最も近くに感じられる国」に選択した年齢別割合。//ハンギョレ新聞社

 11月26日、ソウル大学統一平和研究院は、日本の立命館大学東アジア平和協力研究センターと共同で、韓国と日本、台湾を中心とする東アジアの青年世代の特性を眺望する国際学術会議を開催した。その席で筆者は「韓国の青年世代の中国と日本認識」について発表したが、準備段階で興味深い事実を発見した。

 最近の韓国の若い世代の反中感情に関する記事は、多く書かれている。韓国のMZ世代(1980年代半ば~1990年代初頭に生まれた「ミレニアル世代」と、1990年代後半~2010年初頭に生まれた「Z世代」の2つの世代)または2030(20~30代)が、既成世代(現在の社会の主流である壮年層)に比べ中国をはるかに嫌っており、まさに「中国のすべてを嫌う」という内容だった。

 はたして事実だろうか。筆者は、ソウル大学統一平和研究院の「統一意識調査」(2007~2022)、韓国の東アジア研究院と日本の言論NPOによる「日韓国民相互認識調査」(2013~2021)の長期調査データを利用し、それを統計的に確認してみた。

 下図は年度別の「周辺国のうち最も近くに感じられる国」で「中国」を選択した年齢別の割合を示したグラフだ。

グラフによると、20代は10年にわたり中国への親近感が韓国人平均より概して低く、最大値(2016年、9.8%)でさえ平均値(10.7%)より低い。すなわち、メディア報道の通り、既成世代に比べ中国に否定的であり、コロナ禍以降は特にそうだ。だが、30代は違う。20代のように30代もコロナ禍以降は中国に対する親近感が急減したが、それ以前は韓国人平均より高い親近感を示し、コロナ禍後に急減した状況も、現在は平均水準に回復した。

 ただ、統一平和研究院のこの調査は、米国・中国・日本・ロシア・北朝鮮のうちどれか一つを選択する方式で、他国に対する態度が中国の選択に影響を及ぼしかねない。そこで、東アジア研究院の調査のうち、中国だけを対象にした質問項目を活用し、「中国に良くない印象を持つ割合」をコロナ禍の前後(2019→2021)で比較してみた。

 該当期間に20代は、53.5%→74.2%、30代は52.1%→75.%と非好感度が急増した。だが、韓国人平均が51.5%→73.8%であることを考慮すれば、これは社会全般の傾向であり、2030が既成世代に比べ、よりいっそう中国を嫌っているとは限らない。しかも、(統一平和研究院の調査と同様に)コロナ禍の直前である2018年~2019年は、30代の中国友好点数(54.1%‐52.1%)は、韓国人平均(53.2%‐51.9%)に比べむしろ高かった。

 次に、本当に韓国のMZ世代は、中国の「すべてのもの」を嫌っているのだろうか。これを確認するためには、感情ではなく国益関連の質問を選択してみた。「中国は韓国にとってどのような対象なのか」という質問に、最も否定的な「敵対対象」を選択したケースは、2019年は「20代、30代、(韓国人)平均」は、それぞれ「13.1%、6.8%、8.8%」、2021年は「15.1%、11.1%、11.1%」だった。すなわち、20代は、両時期とも韓国人平均に比べ中国にいっそう敵対的だが、30代はコロナ禍以前は平均より友好的であり、その後は平均水準だった。

 「中国の浮上が朝鮮半島の平和に役立つだろうか」という質問に、「役立つ」を選択したケースは、2021年は「21.5%、30.8%、28.1%」、2022年は「28.0%、33.3%、28.7%」だった。両方ともコロナ禍後のことだ。今回も20代は、両時期のいずれでも韓国人平均に比べ否定的だが、30代は平均より肯定的であり、その程度も増加傾向だ。これに似たパターンは、多くの質問項目でも繰り返された。

 結論としては、20代の場合、反中感情は既成世代より強く、比較的一貫して現れるが、30代は一貫しないだけでなく、国益などに関連した問題では、韓国人平均に近かったり、より肯定的な場合も多かった。したがって、20代と30代をざっとまとめて「2030は韓国内の反中を主導する」や「MZ世代は中国のすべてを嫌う」とする形の報道は、統計的事実とは一致しない。

 世代は、社会変動をとらえるのに重要な人口統計学的変数だが、落とし穴もある。しばしば世代論は、同世代内の差異を消し、違う世代との差異を大きくする。世代論生産の3大主体が、メディア、企業、政界である点も、それと無関係ではない。メディアはイシュー・メイキング、企業は消費者ターゲティング、政界は有権者ハンティングのため、世代の議論を積極的に生産、流布する。これらにとっては、差異は強調し仲間は分割する方が概して有利だ。これらが世代論に積極的な理由であり、私たちがこれを警戒しなければならない理由でもある。

 (外部との)差異を示すためには、先に(内部の)差異を覆わなければならない、だが、これに先立ち確認したところ、中国関連の韓国の20と30、MとZの間には、一つの名前では棄却できない差異が存在する。(事実、2030とMZも正確には同じ対象ではない)。実際、今回の国際学術会議でも、韓国はもちろん日本と台湾の青年世代の内部にも、一つに標準化できない様々な差異と亀裂が存在することが確認された。この差異の意味を慎重に熟考し、発展的に省察する必要がある。同じ流れで、韓国の若い世代全体が反中戦線の前衛部隊であるかのように刻印されることは、あってはならない。何よりそれは、事実ではないからだ。

//ハンギョレ新聞社

イ・ムニョン|ソウル大学統一平和研究院教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1070327.html韓国語原文入力:2022-12-05 19:49
訳M.S

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