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[社説]北朝鮮のミサイル発射にも「米国」ばかり叫ぶ尹大統領、現実的な対策は

登録:2022-10-04 05:27 修正:2022-10-07 10:28
尹錫悦大統領が1日午前、忠清南道鶏龍大学の大練兵場で開かれた建軍「第74周年国軍の日」記念式典で観閲している/聯合ニュース

 今月1日の国軍の日の記念式典を控え、北朝鮮が再び弾道ミサイルを発射した。ここ1週間で北朝鮮の4回目の弾道ミサイル発射である。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は同日の記念演説で「行動する韓米同盟」を強調し、軍事パレードには「怪物ミサイル」と呼ばれる弾道ミサイル「玄武」など新兵器が多数登場した。北朝鮮の挑発に強対強一辺倒で対応し、韓米同盟ばかりを叫び続ける対北朝鮮戦略に対する懸念が高まっている。

 北朝鮮は最近、韓米合同演習や韓米日共同訓練、カマラ・ハリス米副大統領の訪韓などに合わせ、相次いで弾道ミサイルを発射した。いつでもどこでも核攻撃に乗り出せる能力を誇示するのが狙いとみられる。北朝鮮は先月、先制核攻撃を含む核武力政策を法制化しており、7回目の核実験が差し迫っているという警告も相次いでいる。

 このような厳しい安全保障状況で、尹大統領は「北朝鮮が核兵器の使用を企てるなら、韓米同盟と韓国軍の圧倒的な対応に直面することになるだろう」と述べた。「韓米合同演習をさらに強化し、挑発と脅威に強力に対応する『行動する同盟』を実現していく」とも宣言した。同日の軍事パレードで、韓国軍は「世界最大の弾頭重量」として知られる玄武ミサイルの発射場面を初めて公開した。

 北朝鮮の核脅威に対応した安全保障の強化措置は必要だが、安全保障分野における米国への依存を深めることで、この厳しい状況をすべて解決できると言わんばかりの尹大統領の態度は安易だと言わざるを得ない。尹大統領就任後、韓国政府は米国との拡大抑止戦略協議体を通じて米国の戦略兵器の配備を増やし、北朝鮮の核脅威を防ぐ案に焦点を合わせてきた。しかし「アメリカファースト(米国第一主義)」を強調する米国が、核戦力の運用に韓国の立場を反映する保証はない。また米国が中国を牽制しようとする韓米日軍事協力強化を急いでいる中、日本が韓日関係改善のためのいかなる措置も取らない現実は、尹政権の外交政策の限界を表わしている。「文在寅(ムン・ジェイン)政権の否定」にこだわる尹錫悦政権の外交安全保障政策により、米日との関係でも韓国の発言権がむしろ弱くなり、引きずられる立場になっている。

 韓国がこれからも北朝鮮に対して強硬一辺倒の政策を推し進めれば、北朝鮮の核脅威の強化-韓米拡大抑止の強化-これに反発する北朝鮮の挑発の高度化という悪循環が繰り返され、朝鮮半島の緊張は高まり続けて、軍拡競争の負担も増えていくだろう。厳しい現実にふさわしい慎重な戦略、軍事的対応とともに、多面的な対話と外交も進める戦略的ロードマップを考えなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1061033.html韓国語原文入:2022-10-03 02:39
訳H.J

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