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[社説]「電気自動車補助金」からの排除、韓国はEUや日本と協力して米国の説得を

登録:2022-08-29 02:45 修正:2022-08-29 07:30
米国のジョー・バイデン大統領(中央)が16日(現地時間)、ワシントンのホワイトハウスで「インフレ抑制法(IRA)」に署名している=ワシントン/AP・聯合ニュース

 韓国政府が遅ればせながら、韓国製の電気自動車を差別待遇する米国の「インフレ抑制法」に対する対応に乗り出した。まずは韓国製に対する差別待遇を是正することを米政府に要求し、世界貿易機関(WTO)や韓米自由貿易協定(FTA)の紛争解決手続きに沿っての提訴は最終手段として検討することとした。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の対米外交政策基調を考えれば予想された水準だ。同国のジョー・バイデン政権が猛烈に自国優先主義政策を推進していることを勘案すれば、この程度の対応で問題が解決できるかは疑問だ。

 米国は、北米(米国、カナダ、メキシコ)で最終的に組み立てられた電気自動車の購入者にのみ最大7500ドル(約1千万ウォン)の補助金を支給するとの内容が含まれているインフレ抑制法を16日に施行している。米国への大規模な投資を約束し、実際に工場建設に取り組んでいる韓国企業の立場からすれば、裏切られた格好だ。米国の今回の決定は、国内製品と輸入製品の差別を禁止するWTOと韓米FTAに違反するものだ。それでもこれを推進した背景には、先端産業のグローバルサプライチェーンから中国を排除するとともに、自国内の製造業を復活させるとの意図があるのは明らかだ。11月に中間選挙を控え、票を得ようという政治的計算も作用したものと見られる。

 米国は明らかに国際通商規範に違反しているだけに厳重に抗議し、同等な待遇を強く要求すべきだ。国際法上保証されている紛争解決手続きも稼動しなければならない。厳然として規定されている手続きを先送りすれば、韓国が甘く見られる可能性もある。WTOの紛争手続きは正常に作動しないという評価が多いだけに、まず韓米FTAの紛争手続きを検討する必要がある。

 似たような立場にある欧州連合(EU)や日本との協力体系の構築を早急に模索すべきだ。韓国単独では力に余るため他国と連帯すべきだということだ。だが、産業通商資源部と外交部の説明には少し違いがある。産業部はこれらの国々との協力に積極的である一方、これらの国々の政府と協議すべき外交部は慎重だという。政府内で統一する必要がある。対米通商ラインがきちんと対応したかどうかも検証しなければならない。当初、米国議会は「労組のある米国の工場」で生産された電気自動車のみを補助対象とするとしていたが、カナダとメキシコからの強い抗議により「北米製」に変更しており、韓国の待遇とは対照的だからだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1056230.html韓国語原文入力:2022-08-25 18:19
訳D.K

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