韓日の首脳がNATO(北大西洋条約機構)首脳会議を機として5回にわたり対面し、関係改善の意志を相互に確認したという。行き詰まった両国関係の突破口を開くのは望ましいことだが、韓米日軍事協力が言及されたことは警戒すべきだ。
今回のNATO首脳会議の期間中、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と日本の岸田文雄首相は韓米日首脳会談などで対面した。28日(現地時間)の晩餐会で尹大統領は「(日本の)参議院選挙後、韓日の懸案を早急に解決し、未来志向的に歩んでいきたい」と述べ、岸田首相は「日韓関係がより健全な関係に発展するよう努力したい」と応じたという。両国がメディアに語ったニュアンスは若干異なるが、少なくとも関係改善の意志は明らかなようにみえる。
ただし、直ちに韓米日軍事協力が課題として浮上するのは心配だ。29日の3国会談で岸田首相は、北朝鮮が核実験を行った場合の韓米日の共同訓練の可能性に言及し、韓米同盟の抑止力強化のためにも日本の防衛力強化が必要だと述べた。尹大統領は、北朝鮮の核に対する対応に向けた3国協力の重要性を強調するとともに、「世界の平和と安定のための重要な中心軸になることを期待する」と述べた。
北朝鮮の核とミサイルに対する対応とともに、グローバルな観点での韓米日の「反中戦線」参加を念頭に置いたものだが、直ちに3国の軍事協力の可視化まではいかなくとも、議論を本格化するというシグナルと解釈されうる。大統領室の関係者も「3国の安保協力は時間がかかり、漸進的に検討すべき問題」だとして可能性を残している。尹大統領は大統領選挙期間に「朝鮮半島での有事の際の日本軍の進入」発言で波紋を広げており、政府も韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)正常化方針を強調してきていることから、このような発言を軽く考えることはできない。
実際に、韓日関係の正常化への道は楽観が難しい。強制動員被害の解決策などの歴史懸案に対して、日本は解決策を韓国が示せという一方的な立場から引く気配がない。経済制裁も同様だ。政府は強制動員被害者に対する賠償問題を解決するための官民協議体を近いうちに発足させるなど、先制的な対応に乗り出しているが、日本側が相応な措置を取るかは未知数だ。そのような点で大統領室の関係者がこの日「『トップダウン』の雰囲気」だとし、「韓日首脳同士は(問題を解決)する準備が完全にできているようだ」と述べたことは、先走り過ぎているように思われる。関係改善を急ぐあまり韓国が原則を失い、低姿勢外交に陥ることがあってはならない。