今年に入って、北朝鮮はすでに2021年の1年間に行ったよりも多くのミサイル発射実験を行っている。極超音速ミサイル実験に成功したとも主張している。核実験の再開も示唆している。
朝鮮半島をめぐっては悪いニュースばかりではない。北朝鮮が韓国、米国、中国とともに朝鮮戦争を公式に終結させることに原則的に同意したという報道が、昨年末になされてもいる。米国が大胆な提案を行って積極的に取り組んでいたなら、緊張緩和の一部進展がありえたかもしれない。
しかし、事実上バイデン政権には北朝鮮に集中する時間と余力のある者は誰もいない。トニー・ブリンケン国務長官は、対北朝鮮戦略を協議するために今月ハワイで韓国と日本の外相と会談しているが、新たな構想は出ていない。バイデン政権はウクライナの状況に圧倒されている。
ロシアの軍事行動が韓国に大きな影響を与えたことはほとんどない。2014年にロシアがクリミア半島を掌握し、ウクライナ東部の内戦に介入したことも、韓ロ関係には些細な影響を及ぼしたに過ぎない。韓国は米国のロシアに対する制裁に従ったが、独自制裁は行っていない。
ロシアと韓国は依然として活発な貿易を繰り広げている。両国は鉄道やガスのパイプラインなど、韓ロをさらにつなげる南北経済協力事業に利害関係もある。ロシアが大規模な攻撃に乗り出せば、韓国は主にグローバル・サプライチェーンの支障からくる影響を受けるだろうし、ロシアやウクライナの数十の韓国企業の活動にも影響が出るだろう。
しかし、それは韓国人がウクライナ情勢に細心の注意を傾けるべき理由ではない。また、戦争の可能性にばかり焦点を当ててはならない。まったく別の問題、つまりエネルギーについて考える必要がある。
ロシアは最大の天然ガス輸出国、第2位の石油輸出国、第3位の石炭輸出国だ。化石燃料は2019年の輸出の60%以上を占めている。ロシアは化石燃料の輸出を欧州市場にかなり依存している。
しかし、その関係は脆弱だ。ロシアがウクライナに侵攻し、欧州が制裁によって対応すれば、東から西へと向かうエネルギーの流れは完全に途絶えるだろう。戦争が起こらなくても、化石燃料を基盤とする貿易関係には長期的にみて未来がない。欧州は、今現在は経済から石炭を取り除くために天然ガスに依存しているが、再生可能エネルギーがさらに増えるにつれてロシア産天然ガスの使用を減らすだろう。
ロシアは、中国の一帯一路の投資のおかげで、化石燃料インフラを東に向けつつある。中国も太陽光と風力をかなり増やしているが、巨大な経済の高速成長を維持するためにロシア産のエネルギーを必要としているのが実情だ。
ここで韓国の役割が重要になる。世界はますます古い左右の理念や東西、南北では分裂しなくなるだろう。気候変動が加速するほど、唯一の重要な区分は、クリーンなエネルギー対汚いエネルギーとなるだろう。
ウクライナの事態は、この論争において変曲点となる。欧州は、十分に速いわけではないものの、クリーンエネルギーの未来へと向かっている。ロシアは化石燃料という過去にこだわっており、中国からこのような旧式の依存関係によって励まされている。ウクライナをめぐる戦闘は、領域と同盟に関するものであると同時にエネルギーに関するものだ。究極的には、ウクライナがロシア産化石燃料に依存する影響圏に属するのか、あるいは新たな「グリーン欧州」の影響圏に属するのかに関するものだ。
東アジアにおいて韓国は、石油、ガス、石炭への依存度を維持するために、ロシア産化石燃料の供給の方向転換を利用することもできる。化石燃料は、韓国の一次エネルギー需要の85%以上を占める。韓国にとってロシアは石炭で2位、石油で4位、天然ガスで6位の供給国だ。韓国は果敢に別の方向へと動くこともできる。グリーン・ニューディールの約束を履行し、大規模なクリーンエネルギーへの投資によってロシアのエネルギーへの依存を終わらせることができる。
今こそまさに、韓国はどちら側に立つかを決めるべき時だ。ロシアかウクライナか、あるいは米国か中国かを選択せよということではない。より重要な決定は地球の未来についてのものだ。ロシアと中国の化石燃料パートナーシップは行き止まりだ。本当に問われているのは、韓国は未来に向けて別の道を歩むことができるのかということだ。
ジョン・フェッファー|米国外交政策フォーカス所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )