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[コラム]佐渡島のトキと悲しい鉱山

登録:2022-02-07 10:02 修正:2022-02-07 11:34
Joewoogy.com//ハンギョレ新聞社

 日本の新潟県北西にある、済州島の半分ほどの大きさの佐渡島は、きれいな自然が生きているところだ。市当局や住民たちは農業が主業であるこの島をトキが再び生息する場所にするために努力してきた。

 トキは韓国では1979年に姿を消し、日本では1993年に最後の雌トキがこの世を去った。日本は1999年に中国からつがいのトキ一組を寄贈された。中国の支援を受け人工繁殖に成功し、今は200羽余りが、1メートルを超える翼を広げて島のあちこちを飛び回っている。住民たちは農薬と肥料の使用を減らし、水路と魚道を作り、冬の田んぼに水を供給し、島をトキが生息できる場所にした。

 韓国も2008年から中国からトキの寄贈を受け、復帰を試みている。人工繁殖したトキを2019年から3回にわたって昌寧(チャンニョン)の牛浦(ウポ)沼に放した。韓国の復帰の試みは、中国と日本から支援を受けている。トキは一時、韓日中の友好と協力の象徴だった。

 佐渡島には鉱山がある. 江戸時代初期から採掘してきた日本を代表する金鉱だ。銅など他の鉱物も出る。1931年の満州事変、その後の日中戦争で金の需要が大きく増えると、三菱鉱業は国策に従って事業を拡大した。1939年からは朝鮮人を動員し始めた。日本人の珪肺症患者が多く、生産実績が低迷したためだ。

 1940年2月、論山(ノンサン)出身の98人をはじめとし1943年まで1005人の朝鮮人がここにやってきた。労働条件は過酷で、食費と寝具台、作業着購入費を除いて実際に手に入れる賃金は極小額だった。当初2~3年の契約条件で募集したが、強制的に契約を延長した。珪肺症にかかる人も出てきた。鉱業所の記録には、朝鮮人労働者のうち10人が死に、148人が苦痛のため、逃亡したと記されている。(広瀬貞三「佐渡鉱山と朝鮮人労働者(1939~1945)」)、佐渡鉱山には朝鮮人だけが動員されたが、中国人を動員した他の鉱山もあった。

 日本政府が「佐渡島の金山」を2023年に世界文化遺産に登録するために、ユネスコ世界遺産センターに推薦書を出した。日本の植民地時代のことは消し、江戸時代に限って日本固有の伝統的手工業を活用した類例のない鉱山だと意味づけた。恥も外聞もない試みが、トキの復帰に向けた協力の現場だった佐渡島を歴史対立の島にしてしまっている。

チョン・ナムグ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1029900.html韓国語原文入力:2022-02-06 18:58
訳C.M

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