北京冬季五輪が4日夜、開幕した。先端技術を活用した派手な開幕式は、世界第2位の経済大国中国の発展と力を誇示した舞台だった。今回の五輪は、今年3期目に乗りだす習近平国家主席が「五輪の開催の成功」を主要な業績に掲げるための政治的なイベントでもある。選手をはじめとする五輪関係者の動線を北京市民の空間と完全に遮断する「クローズドループ」方式で行事を進め、中国の厳格な「ゼロコロナ」政策と防疫の優越さを世界に誇示しようとする意図を示している。
揺れ動く国際秩序の中心で開かれる今回の五輪が、緊張を緩和するきっかけになるのか、それとも新冷戦が本格化する現場として歴史に記録されるのかについても注目される。米中の激しい覇権競争と中国の人権問題に対する懸念のなか、米国をはじめとする一部の国々は、政府代表を派遣しない「外交的ボイコット」に出た。開幕式に参加する最高クラスの要人も20人ほどであり、2008年の北京夏季五輪の際の90人ほどに比べ確実に減った。14年前には大統領が開会式に参加した韓国も、「外交的ボイコット」には参加しなかったが、パク・ビョンソク国会議長とファン・ヒ文化体育観光部長官が参加することでランクを下げた。
中国が、新疆でウイグル人などの少数民族を弾圧し、香港で国家安全法により民主主義と言論の自由などを弾圧していることに対して、国際社会の問題提起と抗議が続いている。中国当局は、今回の五輪で人権問題を提起する選手がいれば不利益をもたらすと警告している。国際オリンピック委員会(IOC)は、中国当局のこのような態度を無視してはならない。
ウクライナをめぐり米国・欧州と対立しているロシアのウラジーミル・プーチン大統領は4日、直接中国を訪問し、習近平主席と首脳会談をした後、開幕式に参加した。コロナ禍以来、習主席が外国首脳に直接会ったのはプーチン大統領が初めてだ。両首脳は「新時代の国際関係に関する共同声明」を発表し、エネルギーと金融の協力協定に署名した。米国の圧力に対抗する両国の戦略的な密着を誇示したものだ。ウクライナと台湾問題に対するロシアと中国の相互協力が、ユーラシアの東西の両方で緊張をいっそう高める方向に進んではならない。特に、プーチン大統領が中国の支持を得た後、ウクライナに実際に侵攻に乗りだしかねないという懸念が生じている。「平和の五輪」という国際社会の念願が水泡に帰さないよう、中国とロシアは賢明な選択をしてほしい。