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[寄稿]中韓関係と米国の要因

登録:2021-12-27 06:36 修正:2022-01-01 08:19
李婷婷|北京大学教授

 中国と韓国は来年国交正常化30周年を迎えるにあたり、両国関係の未来の発展の方法を模索している。両国それぞれの国益が何より重要だが、米国の要因を無視できないことも事実だ。特に、ジョー・バイデン政権が発足してからのこの1年間、中国との戦略競争を繰り広げ、同盟管理の再編の一環として韓国に対する参加の圧力を強めており、中韓関係の発展に大きな負担となっている。

 バイデン政権は、韓米「包括的戦略同盟」の深化を前面に出し、インド太平洋戦略やサプライチェーン改編など、中国牽制の分野で韓国との協力の強化を推進している。特に、5月の韓米首脳会談を機に、半導体やワクチン生産、気候変動などの分野で韓米協力の重要性を浮上させ、伝統的な安全保障の分野でも、ミサイル指針の終了とともに、朝鮮半島非核化の目標の確認や南北の対話・協力に対する支持の表明など、韓国側の主な関心事に配慮した。代わりに、台湾海峡や南シナ海などの中国の重要な利益に対する言及を韓米共同声明に初めて追加する先例を作り、中国側の極めて強い懸念表明を引き出した。

 韓国に対する協力の強化は、米国の中国に対する戦略競争とアジア太平洋地域の同盟管理の再編の流れで起きた。バイデン政権は、中国に対する戦略競争を、伝統的な軍事安全保障分野を越え、複合的かつ多次元的な競争に再定義し、同盟国との協力強化を通じて中国との競争で優位を確保するよう追求している。特に新たな戦略分野では、各同盟国の特徴と力量に応じた個別の協力の推進と管理方法を模索しており、先端技術や新型コロナへの対応、環境分野で優位を持つ韓国を対象に、それらに関する協力をまず試みたものとみられる。

 これは二つの次元で、米国のアジアの同盟国の管理の改編を予告するものではないかと注目を集めた。一つ目は、米国第一主義(アメリカ・ファースト)から相互主義への転換で、二つ目は、日本などの主要な同盟国を中心とする既存の序列化された同盟の管理方法の改編に対する関心だった。米国はアジア地域において、米国中心の二国間同盟システムである、いわゆる「ハブ・アンド・スポーク」のシステムに依存してきたが、事実上、日本を主軸とする序列化の管理を行っていた。冷戦終結以降、制度化と多国間ネットワークの構築を通じて、同盟管理の水平化への改編を試みてきたが、新たな議題の設定や制度の導入、体制構築の面において、日本を主軸とする序列化の構造は大きくは変わらなかった。

 しかし、時間の経過にともない、当初の関心がますます現実化していく過程を目撃することになった。米中競争の構図が複合的な姿を示しているだけでなく、米国の同盟管理の再編やその約束の履行の意志と能力においても、サムスンなどの企業に対する営業情報の提出の要求、終戦宣言と戦時作戦権の移管問題に対する態度、オーカス(AUKUS)などの新たな安全保障協議体の構築などが示唆するように、その基本的な構造や動学が変わるのは難しいとみられる。根本的な原因は、いかに同盟協力を強調しても、国家間の戦略的な目標や脅威の認識、政策の優先順位は不一致にならざるを得ないからだ。朝鮮半島の非核化と地域の平和安定、協力の発展の面で互いの役割を重要視する中国と韓国には、米国の要因を越えて、両国関係の未来の方向性を設定する眼目と努力が必要だ。

 極めて複雑な状況においても、中韓両国はこの1年間、相互の意見の相違と課題をよく管理し、多くの重要な成果をあげた。11月時点での両国の貿易規模は、前年同期比で27.7%成長し、尿素水問題を解決する過程においても、政府間のコミュニケーションと協力の重要性が再立証された。さらに、両国の専門家で構成された「韓中関係未来発展委員会」で共同報告書を採択し、来年初めのテレビ会議による首脳会談の推進について政府間の詳細な内容の調整が進行中だと報道された。このようなモメンタム(動力)が中韓国交正常化30周年となる来年にいっそう加速化され、高次方程式のような地域秩序の改編のなか、それぞれに互恵と再跳躍の機会が開かれるようにするために、両国の政府と民間がともに努力しなければならない。

//ハンギョレ新聞社

李婷婷|北京大学教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1024839.html韓国語原文入力:2021-12-26 20:19
訳M.S

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