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[コラム]グラスゴーとソウルの秋を往復して

登録:2021-11-22 07:18 修正:2021-11-22 09:09
5日昼(現地時間)にグラスゴーのケルビングローブ公園を出発した季候ストライキのパレード。グラスゴーの朝は一晩中降った雨でぬれていた=チェ・ウリ記者//ハンギョレ新聞社

 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を取材し、先週帰ってきた。COP26が開かれたグラスゴーは、英国北部のスコットランドで最大の都市だ。北緯55度にあり、ソウルよりかなり北に位置する。グラスゴーに向かう飛行機で、雨と風が多いというスコットランドの気候を体験してみたいという妙な期待感が出てきた。

 空港の入国ゲートが開き、初めて吸い込んだグラスゴーの夜の空気は、韓国の秋のそれのようになじみがあった。9年前からグラスゴーに住んでいるグラスゴー大学のホン・ジンヒョン教授は、「初めてここに来た時よりかなり暖かくなった。気候変動を実感する」と述べた。ほぼ同時期にグラスゴーに移住した韓国系住民のソン・ミソさん(30)も、「初めて来た頃は、夏は1週間で終わり、すぐに肌寒い秋がやって来た。今は暖かい夏が長くなり、過ごしやすくなったが、これも気候変動の影響」だと語った。

 それでも、英国は英国だった。海のにおいを含んだ空気はしょっちゅう雨と風を呼んだ。グラスゴーに滞在した2週間、突然雨風が吹けば、持っていた毛織のコートを雨具のように身に巻きつけた。英国人がなぜフード付きのジャンパーをよく着ているのか、傘を持つ代わりに雨具を着るのか、グラスゴーでの初日にすぐに感じることができた。グラスゴー市内に慣れるくらい時間がたつと、こちらの人々は変化の激しい天気に鈍感にならざるを得ないと感じた。

 韓国系住民たちが言うには、英国人は分単位の気象予報アプリを愛用しながらも、英国気象庁の予報が外れても腹を立てないという。1日のうちに天気があまりにも激しく変化するため、慣れたという説明だった。気象予報が外れると集中攻撃を受ける韓国とは雰囲気が違った。

 韓国気象庁数値モデリングセンター数値モデル開発課のパク・セヨン研究官は、「予報システムが早くから備わっている英国の予報は世界的な水準だが、あまりにも気象の変化が激しい。それでも、気象予報に対する苦情はほとんどない」とし、「台風のような極端な気象現象があまりないためなのか、雨や風などが市民生活に及ぼす影響を紹介する『影響予報』が発達しているのが特徴」だと述べた。雨と風が多い英国では、雨が降れば落ち葉が道路の下水溝を覆うことがあり、風でスクールバスなどがひっくり返ることが多いため、影響予報が発達したのだろうという説明だった。

1日午前(現地時間)バーミンガムから電車に乗ってきたというジョー・ヒンドリーさん(左側女性)は、夫と共にCOP26が開かれているスコットランド・イベント・キャンパス(SEC)の近くの道で横断幕を広げていた=チェ・ウリ記者//ハンギョレ新聞社

 慣れない気候によって暮らしが変わった。湿っぽい気候では、韓国で使用していたマスクパックをほとんど使うことはなかった。韓国ではほとんど使わない帽子を買おうか、何度も悩んだ。ファッション業界では、悪天候だと(しょっちゅう取りかえなければならないため)靴下がよく売れ、天気がよければ化粧品と衣類の販売量が増えるという研究結果がある。

 グラスゴーでは、今月中頃に韓国に戻れば秋は終わっているだろうと予想していた。ところが、また蚊を自宅で目撃した。異常気象を経験した日を忘れないように一人で作成中の「天気日記」によると、昨年11月18日にも蚊を5匹つかまえたという記録がある。今月19日にも自宅で6匹をつかまえた。

 来週は最低気温が氷点下に下がった後、ふたたび気温が上がるだろうという予報に、首をかしげた。2001年に日本のアパレルブランドのユニクロは、冬の開始が遅れるだろうという長期予報を活用して、季節の変わり目の衣服であるポーラーフリースをわずか半月で1500万着販売したという。気象情報は経済だ。特定の天気に最も合う衣装をすすめてくれるアプリもある。

 国立樹木園は、過去10年間の調査記録を基に、朝鮮半島の植物の紅葉や落葉の時期が遅くなっているという結果を発表した。グラスゴーとソウルを往復した計17日間、冬の遅い始まりが私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか気になった。気候変動はつねに人間の想像力と適応力を試している。

//ハンギョレ新聞社

チェ・ウリ|気候変動チーム長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1020124.html韓国語原文入力:2021-11-22 02:33
訳M.S

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