23日の東京五輪の開会式を控えて推進されていた韓日首脳会談が結局白紙となった。両国の首脳会談が、悪化した韓日関係修復の転換点になるという一抹の期待が崩れたのだ。事がこのようになったのは、日本政府が「韓国が強制動員問題などの解決策をまず示すべき」という従来の立場を固守したからだ。加害者である日本の高圧的な態度は嘆かわしい。
パク・スヒョン大統領府国民疎通首席秘書官は19日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が東京五輪を契機とした日本訪問を行わないことに決定したと発表した。パク首席は「韓日両政府は首脳会談開催の可能性を念頭に置き、両国間の歴史懸案の進展と未来志向的な協力の方向性に対して意味ある協議を交わした」とし「かなりの理解の接近はあったが、首脳会談の成果とするには依然として不十分だった」と説明した。これまで韓国政府は、首脳会談を通じた「実質的成果」の導出を強調してきたが、日本政府がこれを受け入れなかったということだ。
韓日間には、強制動員賠償、日本軍「慰安婦」被害の解決策、輸出規制など多くの懸案と深い不信が積み重なっている。韓国政府は複雑に絡み合った諸問題を一度に解決するのは事実上不可能であるため、相対的に意見の隔たりを調整しやすい懸案から取り上げ、関係改善の第一歩を踏み出そうと要求してきた。このような背景から、日本は韓国に対する輸出規制を解除し、韓国は韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を回復するという案が提示された。GSOMIAは、米国のバイデン政権の韓米日安保協力強化の要求ともかみ合っている。米国は21日、韓米日外務次官協議を4年ぶりに再開するなど、韓日関係改善に圧力をかけている。
このように韓国政府は「低姿勢外交」という国内の一部の反発を押し切って韓日首脳会談を推進してきた。しかし、日本政府は自国のマスコミに協議内容を流し続け、国内政治に利用しようとする意図をあらわにしてきた。さらに日本政府は、文大統領に対して無礼な妄言を吐いた在韓日本大使館の相馬弘尚総括公使に対して適切な措置を取っていない。日本政府はこの日午前、公式謝罪もせず「(相馬公使の)在任期間なども考慮したうえで、適材適所の観点から判断している」と明らかにした。曖昧にごまかそうとする無責任な態度と言わざるを得ない。
最近の日本政府の様子からは、相手に対する礼儀と尊重、対話を通じて問題を解決するという意志が見られない。日本の態度の変化を改めて求めたい。