日帝による強制徴用被害者と遺族85人が日本企業16社を相手取って起こした損害賠償訴訟で、ソウル中央地裁は7日、「日本企業を相手取って訴訟を起こすことはできない」として却下判決を下した。2018年に日本企業の賠償責任を認めた最高裁(大法院)全員合議体の判決と真っ向から反する上、荒唐無稽な論理を結び付けた異例の判決だ。
地裁は、1965年に韓国政府が日本の資金支援を対価として対日請求権を放棄した韓日請求権協定の文言と締結経緯などを考えれば強制徴用被害者も協定の適用対象になると判断した。しかし最高裁は、請求権協定文や締結過程で日本の植民支配の不法性に言及する内容がないため、強制徴用といわれる不法行為による被害は韓日協定の適用対象ではないと明確にしている。今回の裁判は、植民支配の不法性すらも「国内法的解釈」にすぎないという態度を示した。
地裁はまた、「自由民主主義という憲法的価値を共有する西側勢力の代表国家の一つである日本との関係が損なわれ、これは結局、韓米同盟によって韓国の安全保障と直結した米国との関係悪化にまでつながりかねない」「請求権協定で得た外貨は、いわゆる『漢江の奇跡』に大きく貢献した」など、一方的な「政治外交的」価値判断を判決に介入させた。被害者勝訴の判決で賠償の強制執行が行われた場合、「国際的にもたらされる逆効果などを考慮すれば、国家の安全保障と秩序維持という憲法上の大原則を侵害する」という飛躍した論理も提示した。
法理的側面で今回の判決は、最高裁の全員合議体判決当時の少数意見の二番煎じにすぎない。最高裁がわずか3年前に確立した法理を下級審が新しくもない論理で否定したということだ。これは法的混乱を引き起こし、被害者の権利救済を遅延させるだけだ。
3年前の最高裁判決も被害者たちが訴訟を起こしてから13年8カ月を経てようやく出たもので、「晩時之歎(時機を逸した嘆き)」を呼び起こした。朴槿恵(パク・クネ)政権が2012年の原告勝訴の最高裁判決を覆そうとしてヤン・スンテ最高裁と裁判取引を行ったことは、司法壟断の象徴的事件ともなっている。司法府がこのように強制徴用被害者を何度も傷つけておいて、またもや法廷で挫折を味わわせるとは、あまりにもひどい仕打ちだ。本法廷は今月10日に予定していた判決宣告を、「法廷の平穏と安定などの諸般の事情を考慮して」、この日へと突然変更している。これもまた裁判の当事者たちを尊重する態度ではない。今回の判決は、上級審で速やかに正されるべきだ。