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[社説]新たな機会と挑戦になる韓米同盟、「グローバル」に格上げ

登録:2021-05-27 05:58 修正:2021-05-27 07:18
対北朝鮮政策・ミサイル指針、首脳会談の成果 
北朝鮮との対話への動力・南北関係の独自性を確保 
「中国に対する圧迫」への対処が課題…国益の優先を
文在寅大統領とジョー・バイデン米大統領が21日(現地時間)、米国ワシントンのホワイトハウスで首脳会談後に共同記者会見を行っている/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が米国ワシントンでの韓米首脳会談を終え、23日に帰国した。文大統領は21日(現地時間)、ホワイトハウスで米国のジョー・バイデン大統領と、対北朝鮮政策、新型コロナワクチンにおける協力、半導体やバッテリーのサプライチェーンについての協力、対中国政策などを論議した。今回の首脳会談で両国は、意見の違いを示すよりは、互いに望むことを取り交わし、利益の均衡を合わせた。韓国は、対北朝鮮政策やミサイル指針などの朝鮮半島問題、新型コロナワクチンにおける協力で成果を上げ、米国は、大規模投資の誘致や中国牽制に対する韓国の共感を引き出した。政府は今後、朝鮮半島の平和とワクチンにおける協力などの成果を具体化し、米中戦略競争の荒波を賢明に乗り越えていく外交的な力量を示してほしい。

 今回の首脳会談で両国は、2018年4月の「南北板門店宣言」を尊重し、同年6月の「朝米シンガポール共同声明」に基づき対話と外交を通じた北朝鮮に対するアプローチを模索することに合意した。朝米交渉の連続性と朝米対話への動力を確保したという意味が大きい。韓国の一部の保守勢力は会談前、「融和的な韓国の対北朝鮮政策により韓米同盟が破綻した」と攻勢をかけたが、バイデン大統領は南北の対話と協力に対する支持を明確にした。

 バイデン大統領は会談後の記者会見で、米国務省のソン・キム東アジア太平洋次官補代行を北朝鮮と交渉する「対北朝鮮特別代表」に予告なしに任命した。人権を強調してきたバイデン政権が、予想をくつがえして北朝鮮人権大使より対北朝鮮特別代表を先に任命し、北朝鮮に対話再開のシグナルを送った。バイデン政権が新型コロナの防疫や経済回復、中東問題に集中するため、対北朝鮮政策の優先順位が下がるのではないかという懸念があったが、今回の首脳会談でそれが払拭されたことは幸いだ。

 米国が様々な形での南北交流への協力を含めた板門店宣言を尊重したことも、南北関係の自主性と独自性を広げるきっかけになると期待される。ドナルド・トランプ政権は対北朝鮮制裁を持ち出し、インフルエンザ治療薬であるタミフルの北朝鮮への支援や南北の道路・鉄道連結事業などの韓国政府の南北関係改善への動きを妨げた。

 北朝鮮が対話に応じるかは不透明だ。北朝鮮が対話の条件として提示した対北朝鮮制裁の緩和や韓米合同演習の調整など、北朝鮮敵視政策の撤回についての言及がないからだ。北朝鮮を対話に導くために、8月に予定されている韓米合同演習をどうするのかについても、両国が方針をすみやかに決める必要がある。北朝鮮もせっかく対話の環境が造成されたのだから、この機会を逃さず応じてほしい。米国には、朝米接触の過程で、対北朝鮮政策の枠組みとして提示した実用的アプローチ、段階的アプローチ、外交的解決の具体的な内容は何であるかを詳しく説明してほしい。

 韓国のミサイルの射程距離を800キロメートルに制限してきたミサイル指針が、首脳会談を機に42年ぶりに終了した。韓国がミサイルとロケット開発主権を確保したという意味がある。しかし、米国が終了に同意した背景には、アジア太平洋地域にミサイルを直接配備する代わりに韓国のミサイル能力を強化し、中国を牽制しようとする意図があるものとみられる。

 両国首脳は、韓米同盟が朝鮮半島を越えグローバル同盟に格上げされたと宣言した。グローバル同盟は、北朝鮮の脅威に備える単純な軍事同盟の水準を越え、世界的に重大な事案である新型コロナや気候変動への対応などにおける韓国の役割を拡大した。米国は、半導体やネットワーク技術などの先端産業のサプライチェーンの拡充、クアッド、南シナ海の航行の自由、台湾海峡における平和と安全などの事実上の中国牽制の方策も、グローバル同盟の水準に近付いている。これは私たちにとって、新しい機会であり挑戦だといえる。

 日本は、先月の米日首脳会談で中国に直接言及し数回批判するなど、露骨に米国側に立った。それとは異なり韓米共同声明は、中国牽制に共感しながらも「中国」という単語を一度も使わないなど、慎重な姿勢をとった。韓国は国益を中心に据え、米中戦略競争に冷徹かつ賢明に対処することが重要だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/996323.html韓国語原文入力:2021-05-24 02:42
訳M.S

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