文在寅(ムン・ジェイン)大統領とジョー・バイデン大統領が、南北板門店宣言や朝米シンガポール共同声明などに基づく北朝鮮との外交と対話を強調したのに続き、アントニー・ブリンケン国務長官も北朝鮮の呼応を重ねて求めた。ブリンケン長官は23日(現地時間)、米ABCのインタビューに応じ、「我々は(対北朝鮮政策を)提示した」とし、「我々は、北朝鮮が実際に関与を望んでいるかどうか待ち、見守っている。ボールは北朝鮮のコートにある」と述べた。
バイデン大統領は、21日の首脳会談で文大統領に対し「朝鮮半島の完全な非核化を目標とする、実用的で調整された外交的アプローチ」という対北朝鮮政策の原則を自ら明らかにしつつ、ソン・キム対北朝鮮特別代表の任命を発表し、北朝鮮に向けて対話の意志を発信した。バイデン政権は当初、北朝鮮との対話・交渉業務を担当する対北朝鮮特別代表を廃止する方針だったが、韓米協議の過程で韓国政府が積極的に説得したことで、終盤になって劇的に立場を変えたという。韓米の調整によって、米国外交における対北朝鮮政策の優先順位が下がることを防ぎ、北朝鮮が対話のサインを送ってくれば米国はいつでも交渉を始められるというシグナルが発せられたのだ。
今回の韓米首脳会談を通じて、2019年2月のハノイでの朝米首脳会談の決裂で止まっていた対話を再び進展させる動力が生じたことは意味が大きい。バイデン大統領が公に「南北協力支持」を明らかにしたことで、「南北関係の自主的空間」が確保されたという成果もある。ようやく手にした動力を北朝鮮核交渉と朝鮮半島平和プロセスの再稼働へとつなげるため、南北米すべての前向きな努力が切実に求められる。
北朝鮮は、対北朝鮮制裁の緩和や韓米合同演習の調整など北朝鮮が求めてきた「北朝鮮敵視政策の撤回」についての言及が、今回の首脳会談でなされなかったことに物足りなさを感じている可能性がある。しかし、まず対話の場に戻り、交渉を通じて問題を解決するのが道理だ。イ・イニョン統一部長官は24日、対北朝鮮制裁の緩和に関して「朝米の直接対話の過程で、非核化について北朝鮮がどれだけ意志を明確にするかによって段階的に『同時的相応措置』を作っていくという、柔軟なアプローチの可能性が明確に開かれている」と強調した。
韓米は、南北協力を通じて朝米対話を進展させる具体的かつ実質的な方策とロードマップを示すべきだ。北朝鮮を対話へと導くために、8月に予定されている韓米合同演習をどのようにするのか、方針を早急に決める必要がある。朝鮮半島の平和を進展させるボールは、すべての当事国のコートにある。