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[社説]世界の著名人ら「ワクチン特許を開放せよ」、米国は傾聴すべき

登録:2021-04-17 03:25 修正:2021-04-17 07:56
米国のバイデン大統領が就任前の昨年12月21日、デラウェア州ニューアークにあるクリスティアナケア病院で、ファイザーとビオンテックの共同開発したコロナワクチンの接種を受けている=ニューアーク/AFP・聯合ニュース

 元国家首脳やノーベル賞受賞者ら175人が14日、米国のジョー・バイデン大統領に公開書簡を送り、新型コロナウイルスワクチンの特許権を一時的に中断するよう要請した。米国の製薬会社のワクチン独占権を解除し、世界各国がジェネリック(後発医薬品)を生産できるようにすべきだというのだ。「ワクチンの二極化」が日増しに深刻になっている中で発表された、時宜を得た声だ。

 公開書簡には、英国のゴードン・ブラウン元首相、フランスのフランソワ・オランド前大統領、ミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領、米コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授など、著名な人士らが名を連ねている。国際政治と学術研究に大きな足跡を残した人々であることを考えると、この書簡は人類共同体の共生のための苦心に満ちた忠告として受け止めなければならない。

 世界のコロナワクチンの分配状況を見ると、比較そのものが無意味なほど格差が広がっている。富裕な国々が全物量の87%を占めているのに対し、低所得国が確保した物量は0.2%に過ぎない。最も広く接種されるワクチン製品の特許を保有する米国では、今年7月末には3億回分以上が余るとの見通しが出ている一方で、1人もワクチンを接種できていない国は50カ国にのぼる。

 ワクチンの二極化は、コロナワクチンの高い独占価格というより、生産量の不足によるところが大きい。このため、富裕国は追加金を払ってワクチンを買い占めており、主要生産国はワクチンの域外への持ち出しを防いでいる。国際的なワクチン共同分配の枠組みであるCOVAX(コバックス)も有名無実化している。物量不足による「ワクチン利己主義」を解決する近道は、世界各国で同時にワクチンを生産することだ。

 全世界がともに新型コロナを克服できなければ、世界経済の回復は遅れ、米国も被害を被ることになる。今回の公開書簡は、「平等にワクチン接種を受ける権利」についての訴えであり、自国の製薬会社の利益ばかりを追求していたら「小を貪りて大を失う」という警告でもある。バイデン大統領には、彼らの要請に真摯に耳を傾けてもらいたい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/991390.html韓国語原文入力:2021-04-16 18:26
訳D.K

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