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[コラム]中国の原発の不安な「大躍進」…韓国も他人事ではない

登録:2021-03-17 09:10 修正:2021-03-17 11:40
//ハンギョレ新聞社

 日本の福島原発事故から10年を迎えた先週、中国政府が新規原発を大々的に増設する計画を発表した。

 11日に閉幕した中国全国人民代表大会で公開された「第14次5カ年計画」には、2025年までに中国の原発設備の容量を70ギガワットに増やす計画が盛り込まれた。現在51ギガワットの原発の容量を急速に増やすことで、沿海地域に第3世代の最新原子炉の建設を積極的に推進し、船舶に原子炉を積んだ「海上浮遊式原子力発電プラットフォーム」もつくると発表した。稼動中の中国の原子炉は49基で、米国(94基)、フランス(56基)に続き3番目に多い。しかし、米国とフランスが原発建設を減らしているのに対し、中国は原子炉55基を建設中である。

 中国は1964年、世界で5番目に原子爆弾を開発したが、原発の歴史はそれほど長くない。カナダの技術を導入し、1991年12月に浙江省嘉興で初の原発(秦山原発)を稼動させた。福島原発事故後は、すべての原発プロジェクト審議を全面的に中止したが、2015年に原発計画を再稼動した。増える電力需要に合わせ、石炭発電による大気汚染を減らすとして原発の拡大に拍車をかけている。独自開発した第3世代最新原子炉の「華龍1号」の技術を適用した初の原子炉である福清5号機も、昨年9月から稼動を開始した。

 中国の原発は東南部の沿海地域の広東、福建、浙江、山東に集中しており、事故が起きれば海流と偏西風に乗って韓国の西海(黄海)と南海に放射能汚染物質が流入する危険が高い。環境団体が「海上のチェルノブイリ」と懸念する海上浮遊式原子力発電プラットフォームを、仁川(インチョン)からたった400キロの距離の山東省煙台付近で近く稼動する予定だという報道も出た。

 福島原発事故後、中国でも原発拡大に反対する市民社会の動きがあった。市民のデモで、2013年に広東省江門での核燃料工場の建設が中止され、2016年には江蘇省連雲港で核廃棄物処理施設の建設も取消となった。しかしその後、中国当局の市民運動弾圧が激しくなり、批判の声は消えた。「原子炉自主開発」の成果を誇示し、福島原発事故後に中断した内陸地域の原発建設も再開すべきだという主張ばかりが多い。中国がスローガンとして掲げた「人類運命共同体」にちらつく不穏な影だ。

パク・ミンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/986976.html韓国語原文入力:2021-03-17 02:40
訳C.M

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