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[社説]「結婚しなくても家族」認める法改正の推進を

登録:2021-01-26 20:57 修正:2021-01-27 09:45
映画『万引き家族』(是枝裕和監督)イメージカット=TCAST提供//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が多様化した家族構成形態を積極的に反映した法改正と政策開発に乗り出すことにした。女性家族部は26日、「第4次健康家庭基本計画案」(2021~2025年)を発表し、公聴会も同時に開いた。家族は社会の仕組みの基本単位であり社会変化の産物でもある。多様化した家族構成形態に法と制度が追いついていない問題は、現実との乖離が広がるだけにとどまらず、疎外と差別を量産し、社会の安定と統合も害する。現行の法律は、依然として血縁中心の家父長制に基盤を置いている。2008年の戸主制廃止に劣らない家族制度の変化が必要だ。

 女性家族部の資料で最も注目すべき点も、婚姻と血縁で構成されない形態の家族を排除する現行法を改正する計画だ。現行民法は、家族を配偶者、直系および配偶者の血族、兄弟姉妹に限定している。「健康家庭基本法」も婚姻と血縁、養子縁組を中心に規定する。しかし、これに符合する「夫婦と未婚子女」世帯の比率は、2010年の37.0%から2019年には29.8%に大幅に減った。同じ期間に1人世帯は23.9%から30.2%に増えた。非婚や同居家族も大きく増えたと見なければならない。国民の意識も大きく変わった。2020年女性家族部の世論調査で、「婚姻・血縁関係でなくとも、生計と住居を共有すれば家族」ということに同意した比率は69.7%に達したという。

 現実とかけ離れた法律は多くの差別と死角地帯を産む。家族と認められず配偶者の手術同意書を書くことができない事例は、ドラマの素材になって久しい。1人世帯と非婚世帯は住居支援、税制恩恵などあらゆる福祉制度から疎外されている。韓国もフランスの「市民連帯協約」(PACS)のように同居世帯にも法律婚世帯と同じ福祉恩恵を与える制度を導入する必要がある。基礎生活保障制度の最大の死角地帯である扶養義務制も、血縁中心の家族制度の産物と見るべきだ。現行の「家庭暴力処罰法」は、法律婚でも事実婚でもない場合には被害者が処罰を望まなければ加害者を処罰することさえできない。今回、法改正が推進されることは遅かったとはいえ幸いだ。

 戸主制廃止過程で見たように、家族関連の法・制度を変えるには伝統観念を守る側の反発を避けがたい。しかし、韓国社会の差別を減らし平等を拡大するためには、ある程度甘受するほかはないとみる。葛藤を回避せず、柔軟だが動揺することのない公論化過程を踏んで行かなければならないだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/980487.html韓国語原文入力:2021-01-26 18:42
訳J.S

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