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[社説]バイデン時代、朝鮮半島平和のための「協力」を期待する

登録:2021-01-22 07:37 修正:2021-01-22 08:11
「トランプ時代」の分裂の治癒・米国再建が課題 
新型コロナ・気候などで「国際協力」の修復を 
韓米の新外交チーム、北朝鮮の懸案で緊密な協力を
ジョー・バイデン米大統領とジル夫人が20日、就任式を終えた後、ホワイトハウスに到着し手を振っている=ワシントン/AP・聯合ニュース

 米国のジョー・バイデン氏が21日未明(現地時間20日正午)、第46代大統領に就任した。混沌と分裂のトランプ時代の4年をようやく押し出した「バイデン時代」の幕開けは、通常の米国大統領の就任とは意味が違う。国内的には、傷と分裂を治癒し壊れた米国を再建する課題、国際的には、トランプ時代の「米国第一主義」と別れ、責任あるリーダーシップを回復しなければならない重い義務が、彼の肩の上に置かれている。同盟の回復と米国の帰還を念押してきたバイデン大統領が、全世界とともに新型コロナと経済的困難から抜け出すことができる「協力のリーダーシップ」を示してくれることを、多くの人々が切望している。

 就任式は、新型コロナの大流行と武装勢力による攻撃の懸念のなか、約2万5000人の州防衛軍が動員された軍事作戦の雰囲気のもとで進められた。米国の暗い現実を象徴的に示している。バイデン大統領は2週間前、トランプ前大統領の支持者らが乱入したまさにその議会議事堂で就任宣誓と演説を行い、“団結と治癒”を促した。バイデン大統領は就任の辞で「危機と挑戦の歴史的瞬間だ。統合だけが成功に向かう道だ」としながら「私はすべての米国人のための大統領になることを誓う」と述べた。

 彼は全世界に向かい、「我々は同盟を修復し、再び世界に関与するだろう」としながら「平和と発展、安保の強化で信頼できるパートナーになる」と述べた。 また、「我々は単に力の誇示ではなく、模範の力で導くだろう」と述べた。バイデン大統領は就任直後にパリ協定に復帰し、国際社会で米国の役割が再び始まったという信号を送った。彼は、トランプ前大統領の一国主義外交から徹底的に断絶し、多国間主義と同盟の復元により新たな秩序を構築するという意向を表明した。世界保健機関(WTO)と国連人権委員会に復帰し、就任100日の間に民主主義国家の首脳会議を開くと予告するなど、民主・人権に基づく国際規範の順守の意向も強調している。「帰ってきた米国」のリーダーシップは、強大国の覇権の追求ではなく、新型コロナや気候変動、経済危機などの世界共通の難題を協力を通じて乗りこえる方向に向かわなければならないだろう。

 国際社会に大きな変化が予告された状況において、韓国のきめ細かな戦略と複合的で躍動的な外交がいつにもまして切実となった。アントニー・ブリンケン新国務長官指名者は19日、承認聴聞会で北朝鮮問題について「対北朝鮮政策とアプローチの方法全般を点検するつもりだ」としながら「同盟とパートナー、特に韓国や日本などと緊密に相談し、すべてのオプションを調べてみることからはじめる」と述べた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が年頭記者会見で、朝米対話はシンガポール宣言を基に進展しなければならないと提案したこととは多少距離があるようにみえるが、一方では韓国の外交的努力と戦略によって朝鮮半島情勢が変わりうることを示している。

 バイデン政権の発足に合わせ、文大統領は20日、チョン・ウィヨン前大統領府国家安保室長を外交部長官候補者に突然指名した。2018年春のシンガポールでの第1回朝米首脳会談を成立させたことで大きな役割を果たしたチョン前室長の起用を通じて、「朝鮮半島平和プロセス」再稼動の意向を示したと解釈できる。しかし、バイデン政権はトランプ前大統領の“トップダウン”の対北朝鮮外交に否定的な状況であり、トランプ政権期に韓米協調を主導したチョン前室長の起用がどのような信号を伝えるのかいぶかしいという反応もある。チョン・ウィヨン候補者が国際情勢の変化に機敏に対応し、韓国の主導的役割と朝鮮半島の平和進展を成し遂げられることを願う。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/979705.html韓国語原文入力:2021-01-21 08:09
訳M.S

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