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韓銀「コロナによる成長不均衡、過去の経済危機よりも深刻」

登録:2020-12-22 03:07 修正:2020-12-22 08:08
韓国銀行「コロナ危機」の影響を評価…IT産業で各国の明暗分かれる 
国内部門の不均衡が金融部門の不安へと広がる恐れも
19日、ソウル中区の市役所前ソウル広場に設けられた臨時選別検査所。市民がコロナ検査を受けるために並んでいる/聯合ニュース

 韓国銀行(韓銀)の評価によると、新型コロナウイルス感染症による国家間、国内部門間の成長不均衡は、かつての通貨危機やグローバル金融危機より深刻で広範囲に及ぶことが分かった。

 韓銀は21日、懸案報告書『コロナ危機後の成長不均衡評価』(調査局パク・チャンヒョン課長ら3人)を発表し、「コロナ危機は保健危機が経済危機へとつながったケースで、ショックが世界で同時多発的に波及したという点で、過去の危機(通貨危機、金融危機)と比較すると、国家間および部門間でより克明な形で不均衡が現れている」との分析を示した。

 韓銀によると、国家間の不均衡は、先進国と新興国の間の不均衡と、情報技術(IT)輸出国とその他の国の間の不均衡として特徴づけることができる。先進国は積極的な防疫管理と果敢な景気浮揚策を通じて景気回復を図っている一方、新興国は劣悪な保健環境、財政余力の不足により、防疫と経済対応に困難を強いられているということだ。これを示すように国際通貨基金(IMF)は、2020~21年の新興国(中国を除く)の10月時点の累積成長率予測値(2019年第1四半期を100とする)を昨年10月より10.0ポイント下げたのに対し、先進国の予測値はこれより低い5.5ポイント(104.6→99.1)の下方修正にとどめている。2008年のグローバル金融危機では、新興国の方が相対的に早い回復を見せたのとは正反対の流れだ。

 国家間の明暗はIT産業が大きく分けている。韓銀の分析によると、IT産業の割合が高い中国や台湾では、製造業の生産がコロナ危機直前の2月の水準をすでに回復しており、韓国も輸出がITを中心として改善し、景気回復をけん引している。一方、観光産業および原材料輸出の割合が高い国々は、コロナのショックをより強く受けただけでなく、今後の景気回復も遅れると展望される。

 ひとつの国の中でも部門間でコロナのショックが非対称に現れ、保健危機に脆弱な対面サービス業種における売上と雇用へのショックがはるかに強かった。コロナ危機開始から第3四半期までの家計消費動向を見ると、米国、ドイツ、日本、韓国ではいずれもサービス消費が宿泊、飲食、旅行業を中心に急減している一方、財貨消費減少幅は相対的に小さかった。雇用も、対面サービス業における大きな低迷が米国、ユーロ地域、韓国で共通して現れている。

 韓銀は、一国内の不均衡の中でも注目すべき点として、「実物経済と金融の乖離が続いていること」を挙げた。大半の主要国は、雇用や消費などの実体経済がコロナ危機前の水準を回復できずにいるが、金融市場は急速に回復している。米国の株価指数(S&P500)が7月中にすでにコロナ以前の水準へと回復し、その後も急激な上げ相場が続いているのが代表的な例だ。パク・チャンヒョン課長は「韓国も主要国と同様に、金融の方が実物より早く回復した」とし「前回の金融危機において、株価と実物経済の動きが似ていたのとは異なる」と指摘した。

 韓銀は「国内経済の部門間の成長不均衡は、短期的には景気回復を遅らせ、ひいては失業の拡大、資産価格の下落が重なることで、金融部門へとショックが広がっていく可能性がある」との懸念を示した。また、中長期的には経済の二重構造の深刻化や成長機会の不平等の拡大によって、経済の安定基盤が崩壊する可能性があることから、政策余力を脆弱部門と階層に集中させ、所得や雇用関連のセーフティーネットを構築すべきと指摘した。

キム・ヨンベ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/975172.html韓国語原文入力:2020-12-21 11:59
訳D.K

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