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[社説]「対北朝鮮ビラは北朝鮮の人権のためにならない」、国際社会の説得を

登録:2020-12-19 03:36 修正:2020-12-19 08:28
自由北韓運動連合のパク・サンハク代表が2018年5月5日、京畿道坡州市の烏頭山統一展望台の駐車場で北朝鮮へのビラ散布が阻止された後、北朝鮮の金正恩国務委員長を非難する横断幕をコンテナの上で広げている=坡州/キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 民間人統制線以北の地域からの対北朝鮮ビラ散布を禁止する「南北関係発展に関する法律」(対北朝鮮ビラ禁止法)の一部改正に対し、米国政界などから批判が相次いでいる。韓国政府は積極的に対応すべきだ。対北朝鮮ビラは、北朝鮮の人権改善に役立たないばかりでなく、境界地域の住民の命を脅かすということを国際社会に多角的に伝える必要がある。

 米議会内において全世界の人権問題を扱う超党派組織「トム・ラントス人権委員会」は、来年1月に新たな会期が開始されれば、対北朝鮮ビラ禁止法などを検討するための聴聞会を開く予定だという。先週、韓国を訪問したスティーブン・ビーガン米国務副長官も、同法に対するトランプ政権の懸念を韓国側に伝えたと「ワシントン・ポスト」が17日報道した。米議会が主要同盟国である韓国の「主権事項」である立法問題で聴聞会を開くのは、極めて異例だ。人権を主要テーマとして掲げるジョー・バイデン新政権の発足も控えており、この問題は今後、韓米間の懸案になる可能性もある。

 米国の政界や人権団体などは、同法は北朝鮮住民に外部情報を提供するための努力を制限するとともに、表現の自由を侵害すると批判する。誤った情報をもとに誤解しているのだ。同法は「表現の自由」全般を制限するものではなく、民統線以北でのビラ散布にのみ適用される。南北の軍事力が集中配備されている同地域でのビラ散布で引き起こされる武力衝突は、境界地域の住民の安全を脅かし、全面戦争へと飛び火する恐れが高い。このため「最小限の範囲内」でビラ散布を禁止せざるを得ないということを国際社会に明確に伝えなければならない。また脱北者団体による「見せるための」ビラ散布は、北朝鮮の人権問題に役立たないだけでなく、後援金を受け取るための「金稼ぎ」の手段へと転落しているという現実をきちんと説明しなければならない。

 これまで国内の保守勢力は、一部の脱北者団体と連携して米政界に北朝鮮の人権問題を執拗に提起し、朝鮮半島の緊張緩和政策を非難するための政治攻勢の道具として利用してきた。いまや韓国政府も、消極的な姿勢から脱し、北朝鮮の人権問題に背を向けているのではないということを積極的に訴える必要がある。南北和解を推進すると同時に、北朝鮮の人権問題をどのように解決していくのかについて、韓国社会の共感を得て対応していくべき時が来ている。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/974961.html韓国語原文入力:2020-12-18 18:53
訳D.K

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