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[キル・ユンヒョンの新冷戦韓日戦3]平昌の衝突…日本が抱いた深い疑念

登録:2020-10-04 21:03 修正:2020-10-05 11:03
キル・ユンヒョンの新冷戦韓日戦_03 

首脳間で行われた感情的な攻防が公開されたのは極めて異例のことだった。この日、韓日首脳は「外交的レトリック」を通じて隠してきたお互いの本音を確認したのかもしれない。韓日対立の序幕が上がったのだ。
2018年2月9日夕方、文在寅大統領と米国のマイク・ペンス副大統領、日本の安倍晋三首相が出席したなか、龍坪のブリスヒルステイでフォトセッションが開かれている。安倍首相は韓・米首脳から一歩離れている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は韓日「慰安婦」合意2周年を迎えた2017年12月28日、「この合意で慰安婦問題が解決できないという点を改めてはっきりと明らかにする」と述べ、日本に大きな衝撃と失望を与えた。それからわずか4日後、安倍晋三首相(当時)は朝鮮半島から飛んできたもう一つの急報を受けることになる。前年には20発を超える弾道ミサイルを発射し、6回の核実験も強行した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が、2018年の新年の辞で突然「北南関係の改善」と2月の「平昌(ピョンチャン)冬季五輪の開催の成功」のために韓国側に「代表団派遣を含む必要な措置を取る用意がある」と明らかにしたのだ。北朝鮮の突然の局面転換に日本は“文字通り”驚愕した。

 振り返ってみると、安倍首相にとって2017年はジェットコースターのような一年だった。同年初めに起こった森友・加計学院不正疑惑で、日本では安倍長期政権の弊害を象徴する「忖度」という言葉が大流行した。20%後半まで支持率が急落した安倍首相を救ったのは、皮肉にも北朝鮮だった。金委員長が日本列島を脅かす弾道ミサイルを発射すると、形容しがたい安保の脅威を感じた日本人は、再び政権を中心に団結したのだ。

 それとともに、遅々として進まなかった対外政策にも弾みがついた。ドナルド・トランプ米大統領が2017年9月の国連総会での演説で「北朝鮮を完全に破壊するほかは選択肢がない」と宣言すると、安倍首相は2日後の21日、韓米日3カ国首脳会談で「『すべての選択肢がテーブルの上にある』というトランプ大統領の決断を支持する」と述べた。帰国した安倍首相は25日、「国難を突破するための解散」を断行し、10月22日に行われた衆議院選挙でもう一度「手軽な勝利」を手に入れた。選挙の勝利直後には「生涯の課題」と言ってきた改憲を再び言及し「幅広い合意が形成されるよう努力する」と述べた。11月5日には、日本を訪問したトランプ大統領と並んで「日米が100%共にあることを力強く確認した」と宣言した。新たに始まった2018年は、改憲に向けて総力を集中する一年にせねばならない年だった。

 しかし、北朝鮮の局面転換で状況が大きく変わってしまった。北朝鮮を対話の場に引き出すために頭を悩ませていた韓国は、この機会を逃さなかった。文大統領は金委員長の新年の辞が発表された翌日の2018年1月2日午前10時、「統一部と文化体育観光部は後続案を早急に用意せよ」と指示した。するとわずか4時間後の午後2時、チョ・ミョンギュン統一部長官(当時)が北朝鮮に向かって「9日、板門店で南北高位級会談を開こう」と提案した。北朝鮮も素早く応えた。北朝鮮の祖国平和統一委員会のリ・ソングォン委員長は3日午後3時30分、「朝鮮中央テレビ」で、これまで途絶えていた南北対話チャンネルを復元すると述べた。興味深いのは米国の反応だった。トランプ大統領が2日、ツイッターで「ロケットマン(金委員長を指す)が今初めて韓国との対話を望んでいる」とし、南北接近に興味深いという反応を見せたのだ。文大統領は4日夜、トランプ大統領との電話会談で、五輪期間中「韓米合同軍事演習を実施しない」という12月の提案に対する合意を引き出した。

 南北のスピード戦に、日本は大いに困惑した。いっとき日本の「リベラルの砦」の役割を果たした朝日新聞までもが3日の解説記事で、金委員長が「平昌五輪参加と南北対話を言及した背景には、米韓関係を揺さぶり(両国の間に)くさびを打とうという意図がうかがえる。韓国が北朝鮮に接近すれば、米韓同盟の弱体化が進む可能性がある」と懸念を示した。

 日本政府の公式な反応は5日になって示された。菅義偉官房長官(当時)は定例記者会見で、「演習期間に対する決定(演習を延期したこと)は、北朝鮮に対する圧力強化の動きを損ねるものではない。日米韓が圧力を最大限高めていくという方針に変わりはない」とし、意味を縮小しようと努めた。しかし、本音はそうではなかった。小野寺五典防衛相は5日、「過去、北朝鮮が対話の姿勢を見せれば国際社会が支援したが、結果的にだまされ続けた」とし、北朝鮮に対する深い不信感を露わにした。朝日新聞は6日「韓国が軍事演習の一時停止を要請しても米国が断ると予測していた」という事実を公開した。「100%共にある」と確信していた日米関係に、南北接近に対する微妙な見解の違いが生じ始めたのだ。

 日本はどう対応すべきか。世論は二つに分かれた。日本の極右は政府間の大切な約束(12・28合意)を覆す韓国への見せしめのため、安倍首相は平昌冬季五輪開幕式に参加すべきでないと主張した。その後、次第に力を得るようになる韓日「断絶論」だ。しかし、安倍首相ら政権の中枢部は、この状況を放置できないと判断する。いわゆる「関与論」だ。開幕式に参加することを決心した安倍首相は、自身と思想を共にする産経新聞のインタビューに臨む。

 1月24日付の紙面に掲載された安倍首相のインタビューは、南北の接近に対する日本の右翼の見解をありのままに示すという点で非常に興味深い。安倍首相は「五輪は平和の祭典であり、日本は2020年に東京五輪を開催する。諸般の事情が許せば開幕式に出席したい」と切り出した後、開幕式に出席すべき理由を二つにまとめた。安倍首相はまず、12・28合意について「韓国が一方的な措置を要求するのは受け入れられない。この考えに対して大統領に直接伝える」、次に韓国の北朝鮮に対する接近に対しては「北朝鮮に対する圧力を最大化するという方針は少しも曲げてはならない。この考えも文大統領に明確に伝えようと思う」と明らかにした。安倍首相はさらに「対話のための対話は意味がない。1994年の米朝枠組み合意、2005年の6カ国協議による合意(9・19共同宣言など)によって北朝鮮は核廃棄を約束したが、彼らはこれを時間稼ぎに使っただけだ。日米韓が緊密に連携し、高度の圧力を維持しなければならないという方針を再度確認したい」と述べた。韓国政府の南北の接近方針を撤回させるために、積極的に関与して影響力を行使しなければならないと考えたのだ。

 もちろん、安倍首相も韓国をたやすく説得できるとは思わなかった。必要なのは日米の共同圧迫だった。

 2月7日午後5時30分、星条旗と日章旗が二つずつ置かれた首相官邸1階の記者会見場に、安倍首相とマイク・ペンス米副大統領が入場した。以前より一段と和んで見える安倍首相の表情と、厳かにしかめたペンス副大統領の姿が妙な調和を成して、会見場には緊張感が漂った。この会談は、ペンス副大統領の8日の訪韓を控え、急速に進められている南北対話に対する米国の立場を公式の席上で確認できる最後の機会だった。

 安倍首相は「ペンス副大統領と十分な時間をかけて北朝鮮の最新情勢を分析し、その後の方策について意見を交わした。関係国に北朝鮮の『微笑み外交』に目を奪われないよう訴えることで一致した」と述べた。安倍首相が言及した「関連国」とは、韓国を意味するものだった。ペンス副大統領が続いて発言した。「同盟国と肩を並べ、北朝鮮が独裁的で残酷な国家だということを伝えたい。北朝鮮が今回の五輪をプロパガンダ(宣伝)に利用できないようにする」。またペンス副大統領は「北朝鮮を最大限圧迫して『完全かつ検証可能で不可逆的な』非核化(CVID)を実現するために圧力をかけ続ける。北朝鮮に、これまで見たこともない厳しい制裁を近く発表する」と明らかにした。実際、ペンス副大統領は9日、文大統領が主催する事前レセプションはたった5分で席を立ち、北朝鮮のキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長との接触を避けた。

 予想通り、9日に江原道の龍坪(ヨンピョン)リゾートのブリスヒルステイで行われた韓日首脳会談は無残な結果で終わった。当時、その場に同席したある関係者は、「安倍首相は席に着くやいなや、慰安婦問題の話を切り出した。会談の雰囲気があまりにも良くなかった」と話した。気分を害した大統領府は、ユン・ヨンチャン国民疎通首席(当時)を通じて、安倍首相が「韓米軍事演習は予定通り行われなければならない」と述べたことに対して文大統領が「これはわが国の主権の問題であり、内政に関する問題だ」と反論したという事実を公開した。首脳間で行われた感情的な攻防が公開されたのは極めて異例のことだった。この日、韓日首脳は「外交的レトリック」を通じて隠してきた互いの本音を確認したのかもしれない。韓日対立の序幕が上がったのだ。

 失望の中で帰国した安倍首相に、さらに不吉なニュースが伝わる。数日前、自分と意思疎通をしたペンス副大統領が、11日のワシントンポストのインタビューで「北朝鮮が対話を望めば、われわれも対話する」と述べたからだ。米国の本当の考えは何だろうか。日本は深い疑念を抱きはじめた。

//ハンギョレ新聞社

キル・ユンヒョン|統一外交チーム記者。大学で政治外交学を専攻。駆け出し記者時代から強制動員の被害問題と韓日関係に関心を持ち、多くの記事を書いてきた。2013年秋から2017年春までハンギョレ東京特派員を務め、安倍政権が推進してきた様々な政策を間近で探った。韓国語著書に『私は朝鮮人カミカゼだ』、『安倍とは何者か』、『26日間の光復』など、訳書に『真実: 私は「捏造記者」ではない」(植村隆著)、『安倍三代』(青木理著)がある。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/957394.html韓国語原文入力:2020-08-26 12:55
訳C.M

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