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[コラム]イ・ジェヨン副会長とウォーレン・バフェットの秘密会合の意味

登録:2020-09-21 19:41 修正:2020-09-22 07:56
//ハンギョレ新聞社

 「被告人 イ・ジェヨンは、2015年7月11日米国でウォーレン・バフェットに直接会い、(サムスン生命の持ち株会社が保有する事業者会社の持分の)売却方案を議論し…」

 サムスン物産と第一毛織の不法合併事件の起訴状の一部だ。ベールに包まれてきたサムスン経営権継承秘密作戦の最後のパズルが解けた瞬間だ。

 サムスンの継承問題は、イ・ゴンヒ会長が1994年、息子に61億ウォン(当時のレートで約7.7億円)を贈与したのを皮切りに30年近く続いた。その過程はきわめて複雑だが、核心は一つだ。「イ・ジェヨンがグループの中核であるサムスン電子を確実に支配できる方法探し」。イ副会長のサムスン電子持分は0.7%に過ぎない。

 サムスンの解決法は、イ・ジェヨン→サムスン物産→サムスン生命→サムスン電子へとつながる所有支配構造の構築だった。1996年、イ副会長がエバーランドの転換社債を安値で買収し、持分31%を確保し、その直後にエバーランドがサムスン生命の持分19%を買収した。第一毛織(エバーランドと合併)が、2015年にサムスン物産と合併したのも、サムスン物産が持っているサムスン電子の持分5%のためだった。

 しかし、サムスン生命が保有するサムスン電子の持分(8.8%)の処理はずっと謎だった。サムスン生命が顧客の金で買ったサムスン電子の株式で、イ副会長の支配力を後押しすることは「金融-産業分離」原則に反し、イ・ジェヨン体制のアキレス腱に挙げられてきた。2017年3月、わいろ供与事件捜査の結果でこの謎を解く重要な端緒があらわれた。「サムスン生命が金融持株会社に転換できるよう助けて欲しい」。イ副会長は2016年2月15日、朴槿恵(パク・クネ)前大統領に会い、頼み込んだ。

 サムスン生命の金融持株会社転換は、「サムスンかばい立て」論議が起きることを懸念した金融委員会の反対により失敗に終わった。だが、サムスンが(サムスン生命の保有する)サムスン電子の株式の処理に着手したことが初めて明らかになり、大きな関心を集めたが、具体的な内容は依然としてベールに隠れていた。

 イ副会長は、バフェットとひそかに会い、その方案を協議した。サムスン生命を持ち株会社(サムスン火災などの金融系列会社の株式を保有)と、事業者会社(サムスン電子の株式を保有)に分けた後、持ち株会社が持っている子会社の持分をバフェットに売るものの、子会社がサムスン電子の株式を7~10年保有して、その議決権を友好的に行使するという内容だった。

 サムスンは「検討段階だった」と釈明した。だが、イ副会長が直接バフェットと交渉し、金融委に対し金融持株会社への転換を要請したことは、計画が推進されていたことを物語っている。また、サムスンは「枝葉末節なこと」として、その意味を縮小した。しかし、イ副会長が不法合併などと関連して直接報告を受けておらず、指示してもいないという主張は説得力を失うことになった。

クァク・ジョンス論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/962987.html韓国語原文入力:2020-09-21 19:03
訳J.S

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