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[社説]集中豪雨被害を機に、南北の「人道的協力」を再開すべき

登録:2020-08-07 22:14 修正:2020-08-08 07:23
北朝鮮の金正恩国務委員長が黄海北道銀波郡大青里の水害現場を訪れ、被害状況を点検したと、「朝鮮中央テレビ」が今月7日に報じた。住宅の屋根が崩れ落ち、浸水している様子=「朝鮮中央テレビ」画面よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮も集中豪雨で甚大な被害を受けたという。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が黄海北道銀波郡(ウンパグン)の水害現場を訪れ、「国務委員長の予備糧穀と戦略予備分物資」を支給して、水害を復旧するよう指示したと、北朝鮮メディアが7日に報じた。対北朝鮮制裁と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という厳しい状況に加え、洪水被害まで発生したことを受け、金正恩委員長が直接民生対策に乗り出したものと分析される。

 気象庁は来週後半まで、朝鮮半島の中北部地方に雨が降り続けると予想した。臨津江(イムジンガン)上流にある北朝鮮の黄江(ファンガン)ダムが、再び水を南側に放流する可能性もある。北朝鮮の黄江ダムの無断放流について、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とイ・イニョン統一部長官は6日、「再発防止」を北朝鮮に求めた。北朝鮮は、黄江ダムの無断放流を繰り返してはならない。様々な理由はあるとはいえ、同胞の生命と安全を脅かしかねないからだ。

 今は黄江ダムの放流を事前に通知する形の「人道的協力」が南北の間で切に求められる時期だ。臨津江周辺は低地帯であるうえ、上流側の北朝鮮の水防対策がまともに行われず、洪水が起こる度、京畿道坡州(パジュ)と漣川(ヨンチョン)に浸水被害が発生してきた。2009年9月、北朝鮮が黄江ダムの水を予告なしに放流し、漣川で6人が死亡したこともある。南北は同年10月、黄江ダムを放流した際、韓国側に事前に通知することで合意した。その後、北朝鮮は南北関係の状況によって合意を守ることもあれば、無視することもあった。今回、北朝鮮が黄江ダムの放流を事前に知らせなかったのは、今年6月に南北をつなぐすべての通信手段を断ち切り、南北関係を断絶したことと関係があるはずだ。

 しかし、南北が政治的理由で洪水のような自然災害に関する協力まで中断してはならない。休戦ラインが南北を分断しているとはいえ、自然には境界がない。南北の最高指導者が同じ時期にそれぞれ水害地域を訪問した場面は、南北が同じ環境に置かれているという現実を改めて実感させるものだった。南北関係がいくら悪化しても、同胞の生命を脅かす国境地域の洪水や家畜の感染病、伝染病には共同対応が必要である。

 統一部が6日、世界食糧計画(WFP)を通じて1000万ドル規模の対北朝鮮人道支援を方針を明らかにしたことを受け、一部では「北朝鮮への屈従」という非難の声もあがった。偏狭で硬直した考えだ。人道支援や災害情報の共有といった懸案から南北関係を再開する必要がある。北朝鮮政府も、このような南北間の人道的協力に積極的に乗り出してほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/956933.html韓国語原文入力:2020-08-07 19:32
訳H.J

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