故チェ・スクヒョン選手が受けた過酷行為の目撃者の証言だけでなく、更なる類似の暴力被害の暴露も続いている。ハンギョレの3日の報道によると、他チーム所属の選手もK監督から暴力と暴言を浴びていたことが分かった。また、チェ選手が監督の監視のため周囲と連絡が取れず、チームでいじめを受けていたという証言も出ている。長年の孤立無援の苦痛の中でも、チェ選手は亡くなる前日に国家人権委員会に差別を訴える陳情を出していたことが確認されており、残念でならない。
国会文化体育観光委員会所属の共に民主党議員らは3日、「国会レベルの真相調査、常任委聴聞会などを行ってでも、最後まで真実を究明する」と述べた。2019年初めにショートトラックのシム・ソクヒ選手がチョ・ジェボムコーチの性暴力加害を暴露した時も、約束は溢れていた。大韓体育会のイ・ギフン会長は「指導者が選手の未来を左右し、不当な行為を犯すことを根絶する」と述べ、当時のト・ジョンファン文化体育観光部長官は「スポーツ大国という美名の下で選手が苦しむことのないよう、先頭に立つ」と述べたことを我々ははっきりと覚えている。
しかし、わずか1年半後に惨劇が繰り返された原因は、約束の当事者にあることが明らかになっている。文体部は反人権的な体育文化を改善するためスポーツ革新委員会を発足させるとともに、暴力事件が頻発する合宿所の廃止などの学校スポーツ正常化対策も発表した。しかし、エリート体育システムの弱体化を理由にこれに最も強く反対したのが大韓体育会だったという。また、当時チョ・ジェボムコーチを擁護するような発言を行い辞任を求められたイ・ギフン会長は、定款まで変えて再任に成功している。イ会長は今回の事件の責任から逃れられない。
チェ選手は今年4月に大韓体育会スポーツ人権センターに届け出たものの、調査は事実上行われなかった。大韓体育会には自浄能力がないことを如実に示している。警察に通報される直前にチェ選手と家族に辞任すると言った加害監督が突然容疑を否認しだしているのも、訓練という大義名分によって暴力加害者に寛大な体育会の態度と無関係ではない。忘れる間もなく繰り返される選手に対する過酷行為を終わらせるために、体育会はこの問題から手を引いて調査を受けるべきだ。捜査に着手した検察、国会、政府はみな、最後の機会という切迫感を持って徹底的に調査し、暴力の根を絶たなければならない。