金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の妹である金与正(キム・ヨジョン)労働党中央委第1副部長が3日、大統領府の短距離飛翔体の発射中止要求に対して「おこがましい」「間抜けだ」「低能だ」など露骨な表現を動員して非難を浴びせた。いくら南北関係が良くない時期でも使っていい言葉と使ってはならない言葉があるものだ。極めて無礼な行動であり、自制するのが正しい。
北朝鮮で金日成(キム・イルソン)直系を意味するいわゆる「白頭血統」が直接対南非難に乗り出したのは前例のないことだ。金正恩委員長の不満をそのまま代弁したのではないかとの解釈が出てくる理由だ。金与正副部長は談話で短距離飛翔体発射を「火力戦闘訓練」と述べ、「誰かを威嚇するために訓練をしたのではない。自衛的行為だ」と主張した。また大統領府を狙い、「戦争演習ごっこに熱中する人々が他人の家で軍事訓練をすることに対して良いとか悪いとかいうのは、賊反荷杖(過ちを犯した者が正しい者にけちをつけて居直ること)の極致」として、「行いは3歳の子どもと変わらない」と皮肉った。
北朝鮮は今回米国を刺激しないよう火力戦闘訓練を例年より小規模で実施したことが分かった。そうであるとしても、北東アジアの全ての国が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の防疫に気が気でない時期にこれ見よがしに短距離飛翔体を発射したことは理解できる事案ではない。
金与正副部長は2018年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪の時、金正恩国務委員長の親書を文在寅(ムン・ジェイン)大統領に伝達するなど南北対話の扉を開くことに大きく貢献した。当時、明るく伸びやかな行動で多くの人々に深い印象も残した。そのような要人がこのような荒っぽい下町言葉で暴言を吐いたことは強く失望させられることであり、南北間の信頼を害する行為だと言わざるを得ない。
それでも金副部長が文大統領に対する直接の非難を控えたのは、最悪を避けようとする意味だと解釈したい。これ以上、暴言による非難で南北間の感情の溝を深めないでほしい。今は北朝鮮がCOVID-19拡散阻止のための南北防疫会談にまず積極的に応じなければならない時だ。