ドナルド・トランプ米大統領が、ポン・ジュノ監督の映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞など今年のアカデミー賞4冠に輝いたことに対し、二日連続で露骨な不満をぶちまけた。作品の内容や水準などに対する問題提起ではない。単に、米国映画が作品賞を受賞できなかったから非難したのだ。映画にもあきれた「米国優先主義」を突きつけないと気が済まない、その低劣な認識水準にはあきれる。
トランプ大統領は21日、遊説中のラスベガスで「今年のアカデミー賞は韓国で作った映画だ。私は理解できない」とし「彼ら(韓国)は貿易で私たちを叩き、おかしな映画でアカデミー賞を受賞した」と不平を述べた。前日のコロラドスプリングスでの演説でも、「今年のアカデミー賞授賞式はどれほどひどかったか。勝者は韓国映画だった」とし『風と共に去りぬ』や『サンセット通り』のような米国映画が受賞すべきだとごねた。
トランプ大統領の発言には、どこにも映画そのものの内容や作品性に関するものはない。ただ、米国映画に与えられるべきアカデミー賞を韓国映画が奪ったという浅はかな論理で大衆を扇動し、これを通商問題と関連づけて非難したのだ。いくら保守層の民意を刺激するための政治発言だとしても、文化や芸術すらもカネを計算した米国優先主義の論理を強要するのは残念なことだ。
米国の報道も「外国人嫌悪的な映画批判」「言論の自由、多様性に背反」などと批判している。トランプ大統領がこれに耳を傾けることを望む。