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[記者手帳]アメリカには失望だ

登録:2019-08-27 21:25 修正:2019-08-28 07:53
ドナルド・トランプ米大統領が26日(現地時間)、フランスのビアリッツで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議閉幕の記者会見で記者団の質問に答えている=ビアリッツ/AP

 強い憂慮と失望。文在寅(ムン・ジェイン)政府が「韓日軍事情報保護協定」(GSOMIA)の終了を宣言したことに対する米国の反応は、このように縮めることができる。「失望」という用語が同盟に向けた外交的用語としては強度が強いという指摘もあるが、米国がこの間色々な経路でGSOMIAの延長を希望したという点で、必ずしも理解できないことではない。キム・ヒョンジョン大統領府国家安保室2次長も「米国が失望したことは当然と見る」と話した。

 理解し難いのは米国務省の論評だ。米国務省は「文在寅政府の決定は、北東アジアで私たちが直面した安保的挑戦に対する深刻な誤解を示している」と指摘した。GSOMIAの終了決定は「国益のため」という韓国の説明は「無知の為せる業」という話だ。日本の外相が「地域の安保環境を完全に誤認した対応」と明らかにしたのとそっくりだ。脅威に対する認識の差がこれほど克明な同盟が果たしてあるのかと思う。

 同盟だからといって必ずしも堅固だったり、協力するからといって全面的に同意するというわけでないこともある。ときにはガタつきもし、揺さぶられもする。それでもこうした関係が回っていくのは、強い行為者が同盟の利益を分配し、協力の持続性を管理するためだ。植民支配の歴史的清算をめぐり火が点いた韓日の葛藤が、日本のホワイト国からの排除決定と韓国のGSOMIA終了宣言となって爆発した昨今の状況は、米国がそうした指導力を発揮しなかったか、あるいはできなかったということを意味する。

 韓米日の安保協力は、当初米国の構想から出発した「不安な同居」であった。それぞれ異なる過去を持つ韓国と日本を、米国が無理に結んだといっても過言でない。こうした同居が維持されるためには、韓国と日本が過去を問うことも問い詰めることもしてはならない。米国が朴槿恵(パク・クネ)政府の時に慰安婦問題の「最終的で復帰不可能な解決」を押しつけたのもそのためだ。米国は翌年GSOMIAの締結まで成功させることによって結束力を育てた。ここまでは米国の指導力がいかなる形式であれ韓日関係に貫徹されたと言える。

 しかしその後、ドナルド・トランプ大統領が就任し、米国の指導力は消えた。「アメリカ優先主義」を前面に掲げ、あちこちで同盟の価値をコインの水準に落とした。トランプ大統領は、韓米同盟を称賛するのではなく、在韓米軍と合同演習の維持に金ばかりかかるとして不満を言った。日本が平和憲法の改定を推進し、軍国主義化の道を加速化していても知らぬふりをした。日本の軍事的膨張は侵略の過去を喚起させ、それは友好的な韓日関係と両立できない。少なくとも韓米日の安保協力はすでに破綻の兆しを表わしている。

 米国務省が論評で指摘した「北東アジアで直面した安保挑戦」とは、中国の影響力拡大と軍事力増強を指すと見られる。中国の浮上がこの地域に根をおろした米国主導の秩序に亀裂を起こしたという点で、間違った認識ではない。中国は既存の北東アジア秩序を変更しようとし、それは米国の利益と衝突する。米国と中国の衝突は、領域内国家を糾合しようとする縦並び競争につながっている。

 問題は、領域内の国家が互いに複雑な利害関係を持っていて、米中対決構図で単純に取りまとめられないところにある。さらに、領域内国家の力の格差は過去のどの時より狭まっていて、特定分野では順位が変わる勢力移転が起きている。皆が地政学的変化を促進したり方向に影響を与えられる資産を持っているという点で、今の北東アジアの変化は重層的といえる。

ユ・ガンムン統一外交チーム先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓日の葛藤は、こうした複雑性が二者の関係に投影された結果だ。韓国は、南北関係の進展と米国・中国との協力を通じて朝鮮半島に恒久的な平和体制を構築しようとしている。日本は、中国を封じ込めようとする米国のインド太平洋戦略に便乗して、平和憲法の鎖を解いて軍事大国になろうとしている。この過程で、韓日関係は明確な座標をつかめずに漂流した。米国は今こそ北東アジアで同盟の利害衝突を反映する一層細心な指導力を発揮しなければならない。

ユ・ガンムン統一外交チーム先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/907375.html韓国語原文入力:2019-08-27 18:54
訳J.S

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