ファストトラックの推進に反発した自由韓国党の場外集会が続いている中、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が9日、与野党指導部の会談と与野党・政府協議体の稼動を提案した。大統領が就任2周年対談を通じて、国会の正常化の突破口を開く余地を与えたのは望ましい。与野党が膝を突き合わせて政治復元の知恵を集める契機にする必要がある。
与野党の各党の政治的利害は異なる。選挙法などファストトラックの指定を「左派独裁」と規定した自由韓国党は、場外集会を簡単に諦めることはできないだろう。しかし、国会が景気低迷に対する対応として政府が提出した補正予算案をはじめとする各種経済・民生懸案に背を向けるのは、明らかな職務放棄だ。そのうえ、北朝鮮のミサイル発射で、朝鮮半島情勢にも不安定さが増している。安保や国民生活を力説してきた自由韓国党のファン・ギョアン代表とナ・ギョンウォン院内代表は、文大統領や共に民主党の指導部に会って、言うべきこと言い、代案を提示するのが第1野党として責任ある姿勢ということに気付いてほしい。
自由韓国党が文大統領の提案に折衷の余地を残したことは幸いだ。ファン代表は10日、「大統領に会って北朝鮮の食糧問題だけ話し合うなら、何の意味もない。ファストトラックなど誤った問題全般を論議するなら、いくらでも応じる」と述べた。文大統領も各党指導部と胸襟を開いて対話する意向があるなら、議題を対北朝鮮食糧支援問題だけに制限する理由はない。イ・ヘチャン共に民主党代表が「民生懸案をはじめとした国政状況全般に関する包括的論議を期待する」と明らかにしただけに、議題を調整し、一日でも早く与野党代表らが集まって知恵を絞ってほしい。
文大統領と与野党5党の院内代表が会って国政を協議する与野党・政府協議体の再稼働問題も同じだ。ナ・ギョンウォン院内代表は「韓国党を引き立て役にする5党協議体は、与党陣営の与野党・政府協議会」だとし、「交渉団体で構成された3党協議体にしよう」と要求した。状況によって約束を破ろうとするのは正しくないが、昨年11月の最初の会合以降中断された協議体を復元し、国会を正常化するための柔軟な姿勢は、与野党いずれにも必要だろう。国会復元のための創造的な方案を模索してほしい。
イ・イニョン共に民主党院内代表が「災害・補正予算」だけを扱う臨時国会を受け入れる用意があることを明らかにし、自由韓国党で肯定的な反応を示したのも鼓舞的だ。ただし、経済難に先制的に対応するという補正予算の原則が失われては困る。与野党いずれもこの点を考慮し、慎重に議論を進めてほしい。