朴槿恵(パク・クネ)前大統領が17日、弁護人を通じて、刑執行停止申請を検察に提出した。健康悪化などを掲げて釈放してほしいと要求したのだ。これに歩調を合わせるかのように、自由韓国党のファン・ギョアン代表は「女性の体では耐え難い状況」だとし、同じ主張を展開した。街頭の太極旗部隊や親朴(槿恵)系の政治家たちが釈放を求めて久しいが、本人が書面で申請し、第1野党代表が公開要請したのは初めてだ。法と国民を無視する傲慢な行為と言わざるを得ない。法的要件に該当しないだけでなく、これまで司法手続きを一切無視しておきながら、今になって法手続きに頼って善処を訴えるのはとんでもないことだ。
弁護人のユ・ヨンハ弁護士は申請書で「頚椎および腰椎のヘルニア症状などが好転しない」とし「痛みと痺れでまともに睡眠がとれない」と主張した。「拘置所内では治療がこれ以上不可能な状況」だとも付け加えた。現行の刑事訴訟法第470条と第471条は、「心身の障害により意思能力がない状態」や「著しく健康状態が悪化したか、生命を維持できない恐れがあるとき」などに限り、刑執行停止で釈放できるように定めている。拘置所側は、朴前大統領の主張に対して、すでに受刑生活に無理がないという判断を示した。ヘルニアで刑の執行を停止したという事例は聞いたことがない。「70歳」という要件もあるが、それも3年程度は待たなければ検討対象にはならない。
ユ弁護士は「裁判に出席しなかったのは、判断は歴史的評価に任せ、(朴前大統領が)これをすべて抱えていくという意味だった」とし、「政治的に死亡宣告を受けた状態」と訴えた。しかし、憲法裁判所から検察や裁判所に至るまで、すべての召喚に応じないなど、司法手続きを完全に無視しておきながら、今になってそのような主張をするのは説得力に欠ける。しかも、自由韓国党の全党大会で見せた行動は、事実上“獄中政治”に近い。ユ弁護士が直接「(朴前大統領の)許可を得た」とし、「親朴ではない」と述べるなど、候補を選り好みすることは「政治的な死亡宣告」という主張とは程遠い。
朴前大統領は、自分に対する捜査や裁判などの法手続きを「政治弾圧」と主張してきた態度を変えたことがない。むしろ「愛国市民」云々し、街頭の太極旗部隊を煽る言動をしてきた。国政壟断と司法壟断を憚ることなく行ってきた既決囚を釈放すれば、法治蹂躙を助長するだけだ。