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[コラム]100周年三一節に再確認する“5・18妄言”の根元

登録:2019-02-25 22:31 修正:2019-02-28 19:22

6・25(朝鮮戦争)とその後の冷戦を経て“反共”を最高国家イデオロギーとして掲げることで、親日派の過去は洗われ隠蔽された。

“5・18妄言”は、朴正煕(パク・チョンヒ)-全斗煥(チョン・ドゥファン)の後継政党の自然な結果だ。当初妄言を広めた元祖“親日メディア”らが、平和へと進む道の要所で再び足を引っぱることは、再度の売国行為だ。

自由韓国党のキム・スンレ(左)、キム・ジンテ議員が14日午後、大田のハンバッ体育館で開かれた第3回全党大会忠清・湖南圏合同演説会で、手を取り合い話を交わしている=大田/キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 父は日本留学時代に2・8独立宣言を起草した独立運動家だった。大韓民国臨時政府に従い、中国の南京から重慶に家族も転々としたが、1937年に母と末の弟はついに栄養失調で世を去った。解放された祖国でしばらく国会議員を務めた父は、6・25韓国動乱(朝鮮戦争)の時に北に拉致され、子どもたちは再び“アカの家族”という頚木をかけられた。息子はその後、肉体労働と新聞配達で生計を賄わなければならなかった。金尚徳(キム・サンドク)元反民族行為特別調査委員会(反民特委)委員長の長男が回顧する悲しい家族史だ。

 金九(キム・グ)先生と共に、中国で抗日運動をした金昌淑(キム・チャンスク)先生は、日帝警察の拷問で下半身を使えなくなった。長男は19歳の時の拷問の後遺症で、次男もやはり独立運動の途中で亡くなった。解放後の反独裁闘争で多くが獄苦を体験し、政治ゴロによって本人が再建した成均館大学の総長職から追い出された後には、安宿を転々とした。3番目の息子がタクシー運転手をして生計を立てなければならなかった。

 調査報道専門メディア「ニュース打破(タパ)」は、2015年に解放70周年特集ドキュメンタリー4部作「親日と忘却」を放送し、翌年これを本にして再構成した。独立運動家の子孫の困窮した人生、これと対照される親日派の子孫の相続された“富と権力”は、今も私たちの社会の恥ずかしい素顔だ。李完用(イ・ワンヨン)が蓄積した土地4300万平方メートルを含め、日帝強制占領期間に親日派が所有した土地4億3千万平方メートル(ソウル市の3分の2に相当)のうち、国家に帰属させた土地は3%の1300万平方メートルと推定される。このうち売却処理されたものは10分の1の130万平方メートル(2015年6月報勲処統計)に過ぎない。ニュース打破の表現どおり、この“0.3%”は、うやむやになった“親日清算”の実状を見せる象徴的数値であるわけだ。

 3・1運動100周年を控え、年初からメディアによって過去の問題が再び召還されている。しかし、抵抗の歴史に劣らず、恥ずかしい過去が化粧した新たな顔で私たちのそばに生きていることを忘れてはならない。

 金昌淑先生を成均館大学から追い出し、財団の理事長に上がった人物こそ、日帝下で朝鮮儒林連合会の代表などを歴任し、侵略戦争のラッパ吹きの役割を果した李明世(イ・ミョンセ)だ。彼の孫娘のイ・インホ(元韓国放送理事長)は「(解放後の)親日派清算はソ連から出た指令」だったとし、「私の祖父が親日なら、日帝時代の中産層はみな親日派」だと主張する。

 満州、間島(カンド)特設隊で抗日独立運動家を弾圧・掃討した白善ヨプ(ペク・ソンヨプ、日本名は白川義則)は、2005年特別法により設置された親日反民族行為真相究明委によって親日反民族行為者1006人のうちの一人として公認された。にもかかわらず、朝鮮戦争時の戦功を理由に、相変らず“真の軍人”として彼の名前を取った賞が制定され、軍の関連行事の度に最高の上席に上がり元老待遇を受けている。

 親日派に翼をつけたのは祖国の分断という現実だった。朝鮮戦争と冷戦を経て“反共”を最高国家イデオロギーとして掲げることで、これらの親日・売国の過去は洗われ隠蔽された。日帝に“犬馬の忠誠”を誓う血書まで書いて、満州軍官学校に入った朴正煕(パク・チョンヒ)の親日前歴も、選挙で一度もまともに照明されなかった。

 27日に開かれる全党大会を控えて、自由韓国党に登場した“5・18妄言”は、別の見方をすれば朴正煕-全斗煥後継政党の自然な結果だ。“親日”と“南労党”前歴を“反共”で覆い隠してきた朴正煕と、その娘に追従する人々が全斗煥の蛮行までそこに絡めて「5・18北朝鮮特殊軍潜入」の饒舌を弄するのは、ある意味自然なことだ。

 当初“5・18妄言”の拡散には元祖“親日メディア”の役割が大きかった。すでに1980年当時から抵抗する光州(クァンジュ)市民を“暴徒”“ならず者”と罵倒し「北朝鮮軍特殊部隊潜入」主張を自社の放送に初めて登場させたのも彼らだった。日帝強制占領期間「朝鮮青年たちの徴兵参加を促し、戦時債券街頭販売まで」乗り出すなど、政府が親日反民族行為者として公式確認した先代社主の生き様が、主題だけを“反共”に変えて子孫にそのまま引き継ぎ、独裁と軍事反乱まで擁護するに至ったわけだ。

 政治・言論・軍・学界に布陣したこれら“親日-反共”の既得権妄言同盟は、自分たちの過去を合理化し美化するところで止まらない。最近1年間、冷戦の氷が溶けて流されるや、北朝鮮を悪魔化してきたクセを捨てられずに、不信と葛藤の小さな欠片でも見つけ出しては増幅させ、平和へと進む道の要所でことごとく妨害している。ジム・ロジャーズが全財産を投資すると公言し、周辺国の企業らが対北朝鮮投資機会を伺っている時に、彼らの足を引っぱることは、親日に続く再度の売国行為だ。

 偶然にも、2回目の朝米首脳会談の翌日が3・1運動100周年だ。歴史的瞬間に彼らが再び妄言で墨をばらまくことのないよう、両目をしっかり開こう。

キム・イテク論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/883540.html韓国語原文入力:2019-02-25 19:38
訳J.S

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