金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が23日午後専用列車で平壌(ピョンヤン)を出発し、ベトナムのハノイに向かった。歴史的な2回目の朝米首脳会談の幕が上がったわけだ。今回の会談は8カ月前の史上初の朝米首脳会談に比べ、その意味は決して小さくない。ハノイでの首脳会談を通じて朝鮮半島の非核化や平和体制構築、朝米の国交正常化に向かう努力が具体的で実質的な進展を成し遂げることを期待する。
週末に伝わってきた金委員長の平壌出発のニュースは、さまざまな面から意味深長だった。飛行機を利用せずに4500キロの鉄路を約60時間走ってハノイに入るのは非常に異例的といえる。北朝鮮のメディアが翌日の24日早朝、すぐに金委員長出発のニュースを住民に伝えたことも以前とは全く違っている。中国を通る金委員長の行程について、世界的な関心を呼び起こすとともに、首脳会談に対する北朝鮮の期待と意志を表わしていると解釈できる。
会談の成果についての期待は、米国ワシントンでも現れている。米国のポンペオ国務長官は21日、前回の平壌訪問で進展を遂げたとし、「世界が予想できない北朝鮮の(非核化の)対応が見られることを希望する」と話した。この前まで米中央情報局(CIA)のコリアミッションセンター長を務めたアンドリュー・キム氏は22日(現地時間)、「金委員長がポンペオ長官に『私の子どもが生涯核兵器とともに生きることは望まない』と話したことがある」と公開した。トランプ政権が非核化の意志を高く評価しているという傍証として読みとれる。しかし、米国議会とマスコミは相変らず金委員長に対する強い不信と共に、首脳会談懐疑論が激しいのもまた現実だ。このような悲観論を抑え、非核化への道にしっかり入ったことを全世界に知らせる責任がハノイで会う朝米両首脳の肩にかかっている。
一部では、北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)の核施設閉鎖の意志をすでに表明したため、これに限定された合意ならば北朝鮮にまただまされるのと違わないとして、すでに首脳会談の成果を下げようとしている。しかし、口で言うところの「宣言」と実際の「行動」は全く違う。北朝鮮が寧辺の核廃棄の申告や検証を受け入れ、米国が終戦宣言や連絡事務所設置などで応えるなら、それだけでも第1回会談とは違った極めて実質的で意味のある進展であることは間違いない。もちろんそれに加えて全体的な非核化の日程やロードマップに意見を集約できるならばはるかに良い。このためには米国が北朝鮮に対する経済制裁にもう少し柔軟な態度を見せるべきだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が提案した「南北経済協力」のカードをうまく活用すれば不可能なことはないと見られる。首脳会談の結果によって、北朝鮮の非核化交渉がより大きな支持や推進力を得るのか、また再び長期間の膠着状態に陥るのかが決まる。「ハノイ列車」に共に乗った金正恩・トランプ両首脳が、今度は「非核化と関係改善」に向かう具体的な成果を必ず出すことを願う。