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金委員長「子どもたちが生涯核を抱えて生きていくのを望まない」

登録:2019-02-25 06:23 修正:2019-02-25 08:04
朝米対話を水面下調整した前CIAコリア・ミッションセンター長、講演で 
金委員長、昨年4月にポンペオ長官に「私は父親であり夫だ…」 
金センター長「金委員長は魅力的…金正日総書記より金委員長とパートナーになりたい」 
 
北朝鮮、核・ミサイルの実験中止→申告・査察→廃棄→NPT再加盟のロードマップを提示 
「北朝鮮、望みを叶えるためにはもう少し行動すべき」
アンドリュー・キム前中央情報局(CIA)コリア・ミッションセンター長が22日(現地時間)、米スタンフォード大学アジア太平洋研究所で講演を終えた後、記者団と話している/聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は昨年4月に訪朝したマイク・ポンペオ米国務長官に、「自分の子どもが生涯、核を抱えて生きていくのを望まない」と述べたと、アンドリュー・キム前中央情報局(CIA)コリア・ミッションセンター長が伝えた。キム前センター長は、北朝鮮の核拡散防止条約(NPT)への再加盟を最終段階とする非核化ロードマップの構想も示した。昨年まで水面下で朝米対話を進めていた彼の今回の発言は、朝米首脳会談に対する懐疑論を遮断し、北朝鮮に決断を求めるためのものと見られる。

 キム前センター長は22日(現地時間)、米スタンフォード大学アジア太平洋研究所での講演で、昨年1回目の朝米首脳会談(6月12日)前の3月末~4月初め、ポンペオ長官と平壌(ピョンヤン)を訪れ、金委員長に会った経験を語った。彼は昨年末、中央情報局を引退し、同大学の訪問研究員として在職中だ。

 「非核化する意向があるか」というポンペオ長官の問いかけに対し、金委員長は「ご存知のように、私は父親であり夫だ。私には子どもがいる。私の子どもたちが生涯核を抱えて生きていくのを望まない」と答えたと、キム前センター長は伝えた。

 金委員長は、朝米関係の改善に向けた意志も強調したという。キム前センター長は「金委員長の発言の意味は、朝米が70年以上敵対関係を維持してきただけに、彼が核の野望を放棄できるほど十分に信頼できるよう、朝米双方が温かい関係と信頼を築くことに集中する必要があるということ」だと述べた。

 キム前センター長は、金委員長を「魅力的」だとし、「良い交渉相手」だと評価した。彼は「金委員長は核心を突き止め、技術的に非常に精通しており、肯定的な話し方ができる人」だと述べた。さらに「金正日(キム・ジョンイル)総書記に会ったことはないが、彼のスタイルについては多少知っている。2人を比較するなら、断然金正恩委員長とパートナーになりたい」と付け加えた。また「北朝鮮住民全員が核の放棄に同意しているわけではない」としたうえで、「そのようなリスクを甘受してまで、肯定的な方向に進む人と一緒に働きたい」と述べた。

 キム前センター長は、朝米の非核化と相応の措置をめぐる構想も紹介した。北朝鮮の非核化ロードマップと関連し、核・ミサイル実験の継続的中断から始まり、包括的申告および専門家による査察、核兵器・運搬体(ミサイル)・核物質の廃棄を経て、2003年に脱退した核拡散防止条約(NPT)に再加盟する手順を示した。申告対象については「核・弾道ミサイルはもちろん、生物化学兵器も含まれなければならない」と述べた。

 彼は北朝鮮の非核化行動について、米国が取ることができる相応の措置を経済、政治、安保の3分野に分けて説明した。経済は人道支援▽北朝鮮銀行に対する国際取引制限の緩和▽北朝鮮に対する輸出入制裁の緩和▽北朝鮮経済区域内の合弁法人に対する(制裁の)免除を挙げた。政治的なインセンティブとしては、旅行禁止国指定の解除▽連絡事務所の開設▽文化交流の開始▽金委員長の家族や高官らのブラックリスト登録の解除▽テロ支援国指定の撤回を挙げた。さらに終戦宣言への署名▽朝米軍事協力▽平和協定の締結及び外交関係の樹立を安保分野のインセンティブとして示した。しかし、彼は「北朝鮮は核保有国として認められることを望んでいる」という点も言及した。

 制裁の解除は「米国の目標である最終的かつ完全に検証された非核化(FFVD)が可視化した場合に可能だ」と述べた。寧辺(ヨンビョン)の核施設の廃棄について「(米政府は)核兵器の生産能力をかなり減少させるものと評価する」としながらも、「北朝鮮が望みを叶えるためには、もう少し進まなければならない」と述べた。

 キム前センター長は、こうした内容が「個人的な見解」だとしながらも、「北朝鮮と対話を始めた2年前の私たちの立場であり、我々がこの立場を変えたとは思っていない」と述べた。

 情報機関出身の高官が退職直後に公開講演を行うのは異例のことだ。このため、彼が米政府との共感のもと、朝米がやりとりできる最大値を示しながら、北朝鮮に決断を促したものと見られている。

 キム前センター長は「交渉をしっかり行うことができれば、このすべてを達成できると信じている」としたうえで、「それは一歩後退、二歩前進になるだろう」と述べた。また「2回目の首脳会談は、さらに前に進むものになるだろう。初めての会談より生産的だと言える」と述べた。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/883351.html韓国語原文入力:2019-02-24 22:52
訳H.J

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