日帝の強制徴用被害者の損害を賠償しなければならないという最高裁(大法院)判決がまた出た。先月の新日鉄住金(旧新日本製鉄)に続き、今度は戦犯企業の三菱重工業の責任を認める確定判決だ。今回の訴訟の被害者もまた日本と韓国の裁判所を経て、20年以上裁判の結果を待たねばならず、その間ほとんどが故人となった。遅れた正義は正義ではないという言葉が骨に沁みる瞬間だ。それでも加害者である日本は今回も「国際法違反」などとして反発しているのは残念なことだ。国内でも裁判を遅らせてきた最高裁だけでなく、国民の人権と財産権をまともに保護することが出来なかった韓国政府もまた大きな責任を感じねばならない。
最高裁2部は29日、名古屋の航空機製作所などに女子勤労挺身隊で強制動員されたり、広島の機械製作所や造船所で賃金もなしに労働を強要されたヤン・クムドク(87)、チョン・チャンヒ(95)の両氏らと遺族が三菱重工業を相手にした損害賠償請求訴訟で、原告に8千万~1億5千万ウォンずつ支給するよう判決を下した。最高裁の全員合議体が先月すでに強制徴用企業らの賠償責任を認めたのに伴う当然の結果だ。
日本は判決直後に河野太郎外相名の声明を通じて「日韓請求権協定は日韓間の基礎」として「友好協力関係の法的基礎を根本からひっくり返すことで決して受け入れることはできない」と主張した。しか最高裁の全員合議体が明らかにしたように、韓日請求権協定文や付属書のどこにも日本の植民地支配の不法性に言及する内容はない。日本の外務省局長も1991年8月の参議院で「個人請求権を消滅させたのではない」とはっきりと明らかにしたことがある。日本政府が自らの過去の歴史を省察し、人権を重視する国際法の大原則に戻ることを求める。
ただし、今回の判決でも消滅時効に関して具体的な判断はしなかったが、今後最高裁で反倫理的な犯罪には消滅時効を設けないよう判例を確立する必要があるように思われる。
政府は、強制徴用賠償責任が請求権協定で解決されたという既存の立場と最高裁判例の乖離を解消する一方、外交的後遺症を最小化するよう力を発揮することを望む。民族史の悲劇を裁判取り引きの対象にした最高裁もまた、その実体の真実を明らかにするよう協力することだけが、責任の一遍でも返すものであることを肝に銘じねばならない。