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[社説]北東アジア繁栄も視点にした文大統領の「鉄道共同体」

登録:2018-08-15 23:07 修正:2018-08-16 08:15
東アジア合同安保体制の下地に作る可能性
「南北関係発展が非核化の推進力」に注目
右往左往せず決断力もって進むべき
文在寅大統領が15日、ソウル龍山国立中央博物館「開かれた広場」で第73周年光復節及び政府樹立70周年記念式典で演説している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が15日、73周年光復節祝辞を通じて、南北関係はもちろん北東アジアの安保体制などを包括する大きな枠組みの外交安保構想を明らかにした。南北関係発展を通じた朝鮮半島の非核化促進、南北経済共同体建設、東アジア鉄道共同体提案など大規模な手段が取り入れられている。平壌(ピョンヤン)での来月の南北首脳会談を前に、南北関係発展の中長期ビジョンを網羅したことで、文大統領が昨年7月に表明したベルリン宣言に匹敵するものだ。

 文大統領は「南北間に平和を定着させて自由に行き来し、一つの経済共同体を成し遂げること、それが真の光復(解放)」と話した。文大統領は今後30年間、南北の経済協力効果は最小170兆ウォンとし、開城(ケソン)工業団地と金剛山(クムガンサン)観光再開、鉄路連結、一部地下資源開発を加えたものだと示した。文大統領は「完全な非核化とともに平和が定着した以後」という但し書を付けているものの、適切な時期にこれらの事業を本格化すると明確にしたのだ。京畿、江原の接境地域に統一経済特区を設置する案も提示したが、うまく行けばと南北が「ウィンウィン」となる事業と評価される。

 文大統領は特に南北と中・日・ロ・モンゴルなどの東北アジア6カ国と米国が参加する「東アジア鉄道共同体」を提案したが、意味深い構想と評価される。文大統領は「欧州石炭鉄鋼共同体」が欧州連合の母体になったことに言及して「この共同体は私たちの経済圏を北方大陸まで広げ、北東アジアの合同平和安保体制に進む出発点になるだろう」と述べた。鉄道協力は南・北・中・ロが速やかに協力できる有望分野で、これを通じて適切な時期に対北朝鮮制裁緩和に向かう道を整えることもできる。南北関係の進展程度に合わせ、東北アジア外交の主要な柱として推進してみる価値がある。

 文大統領は「南北関係の発展は北朝鮮と米国の関係進展の付随的効果ではない。むしろ南北関係の発展こそ朝鮮半島の非核化を促進させる推進力だ」という話もした。これは北の核と南北関係を連動させなければならないという米国の態度とは全く違うため注目される。非核化の交渉で南北関係が足止めされた場合、むしろ状況を悪化させかねないという認識であるわけだ。南北関係の進展と北朝鮮と米国の交渉が好循環を成し遂げなければならないだけに、南北関係にも自律性が必要だという文大統領のアプローチは現実的といえよう。

 文大統領は来月の平壌での首脳会談に関連して「完全な非核化とともに終戦宣言、平和協定に進むための大胆な歩みに踏み出すだろう」と明らかにした。南北関係進展の工程表も明らかにした。「相互代表部に発展する」という南北共同連絡事務所が数日後にも設置され、板門店宣言で合意した鉄道と道路の連結は「今年中に着工式を持つのが目標」と話した。

 文大統領は南北関係のビジョンをより明確にしてロードマップも具体化した。今秋、朝鮮半島情勢の重大岐路を控え、目標とビジョンを明確にし、実現方案を整えることは重要だ。右往左往せずに決断力をもって進むことによって、文大統領が現在の状況を打開して朝鮮半島情勢の新しい局面を切り開くことを期待する。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/857765.html韓国語原文入力:2018-08-15 19:12
訳T.W

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