本文に移動

[コラム]“政治家ポンペオ”と北核問題

登録:2018-06-29 01:19 修正:2018-06-29 09:02
14日ソウルで開かれた韓米日外交長官記者会見に出たポンペオ米国務長官=共同取材写真記者団//ハンギョレ新聞社

 今月12日のシンガポール朝米首脳会談の主演はドナルド・トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長だった。両首脳ほどには派手な照明を受けられはしなかったが、マイク・ポンペオ米国務長官の優れた助演の役割がなかったならば、このドラマは作られなかった。

 ポンペオが二度の訪北の後「金委員長には非核化の意志がない」とか「彼は信頼できない」とトランプ大統領に報告したとすれば、首脳会談は実現しなかっただろう。今やポンペオはトランプ大統領と同じ船に乗った運命共同体になった。北核問題が成果をどれほど上げるかにより“政治家ポンペオ”の資産になったり負債になったりする。

 まだ“汝矣島(ヨイド)広間”の水準だが、ポンペオの政治的将来について様々な話が取り沙汰されている。トランプ大統領が2020年の再選に成功するならば、ポンペオが2024年には共和党の次期大統領候補になるのではないかといった話だ。6~7年後の未来を論じることは当てにはならないが、北核交渉の動力を理解する重要な鍵にはなりうる。2010年から2016年まで共和党下院議員に4回も選出された彼に、政治的野望がないはずはないからだ。

 権力の浮き沈みはあるだろうが、現時点で共和党内でポンペオと競える政治的ライバルは目につかない。サウスカロライナ州で下院議員と州知事を歴任したニッキー・ヘイリー駐国連米国大使は、今年初めまで“浮上する新星”、“トランプの腹心”と言われたが、トランプ大統領の“インナーサークル”ではない。

 特に、トランプ反対運動の先頭に立ってヘイリーの下で国連副大使として働いたジョン・ラナーが4月、マイク・ペンス副大統領の国家安保補佐官に入ったことがトランプ大統領の気分を害した。(インターネットメディア「エクシオス」)そこへニューヨークタイムズは、2020年大統領選挙にヘイリーとペンス副大統領が共にトランプ大統領の競争相手として出馬する可能性があると油を注いだ。

 ペンス副大統領の政治的存在感も昨年に比べて低下したというのが一般的な評価だ。彼はワシントンのホワイトハウス近隣のトランプホテルで政治資金募金行事をしばしば開くが、トランプ大統領再選のためのものなのか、自身の大統領出馬のためのものかわからないという笑い話も聞こえてくる。

 共和党の1人者のポール・ライアン下院議長は「自分の子どもに忠実になる」として、来年1月の任期が終われば政界を引退すると4月に宣言した。トランプ大統領の力が弱まるのを待って次期を企てるための“戦術的後退”と見る視角もあるが、現在では大統領候補目録から外れている。

 三人に比べてポンペオは、じわじわと政治的基盤を固めている。4選下院議員の経歴に続き、中央情報局(CIA)局長と国務部の首長を務め、行政経験を積んでいる。中央情報局局長として在職し職員から相当な信任を得たという。新任中央情報局局長のジーナ・ハスペルも彼が推薦した人物と知られている。

 ポンペオは国務長官に就任した後、今年5月に職員に電子メールを送り「本日で国務部の採用凍結を解除する」と宣言した。前任のレックス・ティラーソン長官の「採用凍結」を覆し、国務部の活路を開いた。ある職員は「ティラーソン長官の時よりムードがはるかに良い」と耳打ちした。

イ・ヨンイン・ワシントン特派員//ハンギョレ新聞社

 移民、イラン核協定、気候変化など相当数の懸案で強い保守的色彩を帯びており、特に昨年は北朝鮮政権交替論まで暗示したポンペオが、北朝鮮と交渉に入るやいなや相手の立場に対する理解の幅を広げ、驚くべき柔軟性を発揮している。もちろん、これが北朝鮮に対する一方的譲歩に帰結されることはないだろう。それは政治家ポンペオにとってリスク負担が大きいためだ。

イ・ヨンイン・ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/851116.html韓国語原文入力:2018-06-28 19:09
訳J.S

関連記事