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[社説]北朝鮮と米国の首脳は全てをかけて歴史的合意を

登録:2018-06-11 10:45 修正:2018-06-12 07:10
北朝鮮の金正恩国務委員長一行が今月10日午後、シンガポールのチャンギ空港に到着し、シンガポール外相らの出迎えを受けている=シンガポール公報部提供//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と米国のドナルド・トランプ大統領のシンガポール首脳会談が迫ってきた。6月12日の朝米首脳会談は21世紀に入って最も意味深長な「世紀の談判」というに値する。この会談の結果によって、65年間敵対してきた両国が朝鮮半島の冷戦の最後の残滓を撤去し、平和の道に進むか決定される。南北が和解と共生の新しい時代を開くためにもこの会談は決定的な「モメンタム(勢い)」になるほかない。

 首脳会談を控えて北朝鮮と米国の両首脳は10日午後、シンガポールに到着した。金正恩委員長は到着後にシンガポールのリー・シェンロン首相と会い、事実上会談の日程消化を始めた。このように両首脳が会談の二日も前にシンガポールに入国したことは、今回の会談にかける両国の期待がいかに大きいかを端的に見せている。歴史的な会談を準備するということと同時に、最後の争点妥結を現地で陣頭指揮するという意志がにじみ出ている。

 今回の会談の最大の関心事は、米国が望む「完全で検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)と、北朝鮮が要求してきた「体制保証・制裁解除」を巡り、一定の水準で同レベルの交換がなされるかどうかだ。これに関連してトランプ大統領はシンガポールに発つ直前、今回の会談が平和を成し遂げることができる「一度のチャンス」と強調し、同時に今回の会談で「最小限の関係だけ結ぶこともありうる」という二重的なメッセージを出した。うまくいけば全てのことが一度に解決される「ビッグディール」がなされる可能性があるが、そうでなければ複数の会談を通して合意していくほかないという話と理解される。理想的な構図は両首脳が非核化と体制保証の全過程に対する包括的な妥結をし、その過程を最大限圧縮して段階的に歩んでいくことを合意文に表わすことだ。両国が互いに満足するこのような合意に到達するには、両首脳がともに一歩ずつ譲歩し、共同の目標に向かって意思を合わせねばならない。

 今回の会談で、朝米間で朝鮮半島の終戦合意が成り立つかも関心事だ。当初、朝鮮半島終戦宣言は南北米が一緒に行なうことで南北首脳の間では合意したが、今回、北と米国の首脳が終戦に合意するならば、それ自体で北朝鮮体制保証の一歩となるという点から歓迎したい。トランプ大統領は金委員長をホワイトハウスに招く意向があり、非核化完了後に北朝鮮と国交正常化をする意向があることもすでに明らかにしているが、この問題が合意文に書かれるかも非常に注目される。トランプ大統領が北朝鮮と公式に外交関係を結び、平壌(ピョンヤン)に大使館を開設する問題を積極的に考慮しているという外信報道も期待される。

 金委員長はシンガポールに向かうに先立ち、最後に「大同江(テドンガン)水産物食堂」を視察することによって自分の関心が「経済」にあることを明確にした。経済開発のために核兵器を手放す可能性があることをもう一度遠まわしに示唆したわけだ。トランプ大統領もシンガポール行きの直前に朝米首脳会談について「肯定的」という表現を何度も使い、会談妥結の期待感を隠さなかった。両首脳がお互いの境遇を理解し、すべてを賭けるという姿勢で今回の会談に臨むならば、朝鮮半島と世界に大きなプレゼントが贈られるだろう。今日開かれる朝米首脳会談が、朝鮮半島平和の旅程で一大転換点として記録されることを期待してやまない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/848496.html韓国語原文入力:2018/06/10 23:59
訳T.W

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