中国の王毅外相が2日から2日間、北朝鮮を訪問した。板門店(パンムンジョム)の南北首脳会談と、近づいてきた北朝鮮と米国の首脳会談に繰り広げられている朝鮮半島の大転換の局面に、中国が積極的に対応をするという意思が込められた歩みとして理解できる。この転換期に中国が自らの役割を果たせずに疎外されるのではないかという憂慮があるとも見られる。
王氏の北朝鮮訪問で注目すべき点は、朝鮮半島の平和体制構築の過程での中国の役割の強調だ。北朝鮮と中国の関係は3月末の北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の北京訪問で過去の疎遠さを払拭し、完全に正常化したことができる。しかし1カ月の間に朝鮮半島情勢があまりにも急速に変わり、中国としてはもう一度朝中関係を強める必要があったのだろう。北朝鮮も中国という後ろ盾があってこそ動きの幅がいっそう広がるという点を考慮しただろう。
王氏の北朝鮮訪問は、南北首脳が板門店宣言を通じて明らかにした朝鮮半島の終戦宣言と平和協定の締結問題で、中国はそれなりの役割をするという意志があるものと理解するに値する。実際、終戦宣言の問題は戦争を終わらせて敵対関係を解消するという政治的宣言であるだけに、南北米の3者だけでも充分と言える。中国は韓米と国交正常化して敵対関係をすでに清算したので、終戦宣言に必ずしも同席する必要はない。一方、平和協定締結は終戦後の新しい体制を構築する問題であるだけに、交戦当事国である南北米中がすべて参加することが望ましい。しかし、終戦宣言を推進する過程で中国がもし疎外感を感じるなら、不必要な誤解をしながら門を閉ざしておく理由はない。韓国政府は9日の韓中日の首脳会議で板門店宣言支持の特別声明の採択を目指すというが、この会議を活用する策もあるはずだ。板門店宣言は南北首脳が「朝鮮半島にこれ以上戦争はないと表明した」という内容がある。事実上、南北間の終戦宣言であるわけだ。韓中日の3カ国の特別声明にこの宣言を支持する内容を込められれば、それだけでも中国が終戦宣言に参加する形はそろっているといえる。
朝米首脳会談が近づいて米国の期待も高まっている。ポンペオ国務長官は就任式で「我々は朝鮮半島の歴史の進路を変える前例のない機会を得た」として、会談成功に対する強い自信を表わしている。北朝鮮に抑留された3人の米国人の送還が迫っているという報道もされている。北朝鮮と米国の関係が過去には想像することもできなかったほど、急激に変わる可能性が大きくなっているのだ。この大転換の局面で韓国は、朝鮮半島周辺国が疎外感を感じずに肯定的な役割ができるように外交の力量を発揮せねばならない。関連国が皆「ウィンウィン」する落としどころを用意してこそ、韓国の可動域も広がり、南北関係もスピード感をもって発展できるはずだ。