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[記者手帳]6カ国協議の追憶

登録:2018-04-08 22:46 修正:2018-04-09 10:13
金正恩北朝鮮労働党委員長が習近平中国国家主席と会い首脳会談を行っている様子が中国官営メディアに28日報道された/新華社通信 聯合ニュース

 金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が先月、朝中首脳会談で習近平主席に「6カ国協議の再開に同意する」意思を伝達したという最近の日本メディアの報道を見て、日本が焦っているようだと感じた。朝鮮半島周辺情勢が急変しているが、日本だけが何の役割も果たせずに排除されているのではないかという不安感が感じられる。

 2003~2008年にかけて稼動した6カ国協議は、日本が朝鮮半島問題に割り込む機会を開いてくれた多者対話の枠組でもあった。6カ国協議の再開は、日本が発言権を行使する公式窓口の復元を意味する。日本としては、労せずして手に入れた形だ。しかし、金委員長が今になって10年あまり前の6カ国協議を呼び戻す理由があるだろうか。もしかすると日本の焦燥感が反映された報道ではなかろうかと疑いたくなる。

 当初、6カ国協議はブッシュ行政府が北朝鮮の「朝米直接対話」要求を避けるために考案したものだ。北朝鮮は「核問題は朝米二国間の問題」だとして、最初は6カ国協議への参加を拒否した。こうした北朝鮮を引き込むために動員された論理は「6カ国協議の枠組で朝米二カ国対話をすれば良いではないか」であり、実際にも6カ国協議ではなんとかして朝米二カ国対話をしようとする北朝鮮と、それを避けようとする米国の神経戦がしばらく続いた。北朝鮮が朝米直接対話優先政策を捨てたという話は聞かれなかった。

 客観的現実も変化した。6カ国協議が始まった2003年8月や、「9・19共同声明」が出てきた2005年9月は北朝鮮の核実験の前だ。6回目の核実験まで行った今とは比較できない。韓国大統領府の関係者も6カ国協議の再開に対して「南北首脳会談、朝米首脳会談、可能ならば南北米首脳会談をして、次いでそれよりも安全な装置、関連国の保障が必要ならば6カ国協議に拡大することもありうる」と否定的な態度を見せた。

 日本が突然の情勢変化に当惑する兆候は以前からあった。日本は当初、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の南北関係改善の動きに不信の視線を送った。安倍晋三首相は2月、文大統領が平昌(ピョンチャン)五輪を名分に韓米連合訓練を延期しようとすると、文大統領の面前で「訓練は予定通り実施することが重要だ」と内政干渉とも見える発言までした。当時の韓日首脳会談は、文大統領と安倍首相の正面衝突で冷たいムードだったという。しかし、安倍首相は1カ月後にソ・フン国家情報院長が訪北・訪米結果を説明するために日本を訪れた時「南北関係の進展と非核化局面で変化をもたらした文在寅大統領のリーダーシップに敬意を表わす」として態度を180度変えた。ドナルド・トランプ大統領が、金正恩委員長の朝米対話提案に「5月、朝米首脳会談開催」として積極的に肯定的回答をしたことにより、新しい対話の流れを戻ることのできない現実として受け入れることにしたようだ。

パク・ビョンス統一外交チーム先任記者//ハンギョレ新聞社

 日本は今後、朝日の接触などを通して情勢変化局面からなんとかして疎外されないようにするだろう。日本には北朝鮮脅威論など安保関心事もあり、北朝鮮拉致被害者問題がまだ解決されていないという問題意識もある。日本が朝鮮半島問題に一枚かもうとする努力をあきらめたこともない。

 いずれにせよ、韓国政府が北朝鮮核問題を朝鮮半島冷戦構造の解体という大きな枠組で解きほぐす構想を持っているならば、その流れから日本を排除する理由はない。日本が朝日関係の改善側に動くように支援することは正しい選択だ。とはいえ、私たちの問題に隣国が「ああしろ、こうしろ」と言われる必要はない。そのために9・19共同声明では「朝鮮半島の恒久的平和体制交渉」を「直接関連当事国が別途のフォーラムで」行うことにした。

パク・ビョンス統一外交チーム先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/839647.html韓国語原文入力:2018-04-08 19:04
訳J.S

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