一夜明ければ次々と新疑惑が出てくる。検察の調査を通じて明るみになっている李明博(イ・ミョンバク)元大統領の違法金品授受疑惑の金額が100億ウォン(約10億円)に達している。金品を受け取った名目もさまざまだ。それでも李元大統領は「政治報復」を主張して沈黙するばかりだ。むしろ「李大統領府」の文書を押収した検察を相手に行政訴訟する居直りの態度を見せているので、どういう腹づもりか分からない。
あらゆる不正疑惑があふれているため、検察の捜査の端緒だった国家情報院特殊活動費17億5000万ウォン(約1億7500万円)の問題は小さく思われるほどだ。サムスン電子からダース社へ米国での訴訟費用数十億ウォンを代納されたのもそうだが、ウリ金融のイ・パルソン元会長から人事の口利きの見返りとして22億ウォンを受けとった疑惑や、セヌリ党のキム・ソナム元議員から「公認献金」名目として数億ウォンを受けとった疑惑は驚くばかりだ。事実上大統領職を利用して「官職売買」をしたという以外に言いようがあるだろうか。さらに、公共工事受注請託と共に数億ウォンを受けた疑惑が加わっている。最終捜査の結果を見守るべきだが、それこそ手段を問わずに金品を受け取ったという話だから開いた口が塞がらない。
李元大統領は大統領選当時353億ウォンの財産を申告していた。その時には財産がそれほど多い人が大統領になれば最低限お金に関する不正はないと考えた有権者が多かった。ところが、今このように破廉恥で不道徳な姿を目にしているので、国民が感じている背信感と虚しさは到底言いようがない。李元大統領を拘束すべきという声が7割という世論調査が、国民の怒りをよく示している。
チョン・ドゥオン元議員が言う「驚天動地するもの」も真実を明かすべきだ。チョン氏は「大統領選終盤の李元大統領のキム・ユンオク夫人の途方もない失敗」と言って、「政権をとればあらゆる便宜と支援を惜しまないという内容の覚書を書いてもらい、要求された金も私財もはたいて出した」と話した。李元大統領の側近だった人物が明らかにした内容なので信憑性は高い。正確に詳しく真相を明らかにするのが正しい。
検察による李元大統領の取り調べは遠くないと予測されている。それでもここまで来れば李元大統領のほうから公開的な立場を出すのが当然だ。それが一国の大統領を務めた要人が果たすべき国民に対する最低限の道理であり、礼儀ではないかと思う。