米国のトランプ政権が20日、北朝鮮を9年ぶりにテロ支援国として再指定した。また、中国の習近平国家主席の特使で北朝鮮を訪問した宋濤共産党対外連絡部長は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長に会うことができなかったと伝えられた。トランプ大統領のアジア歴訪と習主席の北朝鮮特使派遣で対話局面を期待した朝鮮半島の状況が、再び極度のあつれきと緊張の局面に引き込まれるようで心配この上ない。
トランプ大統領はテロ支援国再指定の理由として「北朝鮮は核による焦土化で全世界を威嚇することに加え、国外での暗殺も含む国際テロリズムを支援する行動を繰り返ししてきた」と明らかにした。また、今後北朝鮮当局およびその関連の個人・団体に対する追加制裁や不利益を加えるとして、「最大の圧力」攻勢を加速化すると予告した。
テロ支援国再指定の圧力効果は疑問
米国のテロ支援国再指定は、北朝鮮に圧力をかけて交渉のテーブルに復帰させるより、むしろ追加的な核ミサイル挑発の「名分」を与えるのではないかと懸念される。米国と韓国の多くの専門家は、今回の決定が「対話に向かう門を閉ざすもの」として批判的な評価を下している。また、効果も疑問がある。北朝鮮はすでに国連をはじめとする国際社会や米国から全方向的制裁を受けており、テロ支援国再指定にともなう追加制裁で被る痛みは思ったほど大きくない可能性もある。
テロ支援国再指定の論理的弱点もある。米国が北朝鮮をテロ支援国に再指定した根拠は「金正男(キム・ジョンナム)暗殺」である。これは一般的なテロの概念とは多少違う、国内政治的な争い、または粛清の性格が濃い。米国の国務部はテロ支援国の指定要件として「テロ組織に対する企画・訓練・輸送・物質支援、直間接的金融支援、国際テロリズムを繰り返し支援する行動」等を明示しているが、この要件ともそぐわない。
結局トランプ大統領の発表は北朝鮮に対する「烙印効果」を狙ったものであり、米国内の対北朝鮮強硬世論を多分に意識した行動に見える。トランプ氏がテロ支援国再指定を発表しながら、これに関係のない北朝鮮に滞在した米国人大学生の死亡事件に言及した点だけ見ても察することができる。
状況の悪化には北朝鮮の責任も大きい。米国と中国は9日の首脳会談で、宋濤特使の派遣を通じた北朝鮮の交渉意思の打診に合意したという。トランプ行政府が北朝鮮テロ支援国再指定をすでに決めながら発表の時期をしばらく先送りしていたのも、宋濤特使の北朝鮮訪問を通じて北朝鮮の対話の意思を確認するためだった。ところが、金正恩委員長は特使にまったく会わなかったというのだから、これは「追加の核ミサイル挑発を通じた核武力完成」に向かう意思を明確にしたと解釈するほかない。
中国も仲裁者として動ける幅が狭くなった。朝鮮半島の問題を解きうる軸は弱くなり、障害物はいっそう高まったわけだ。平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックを控えた韓国政府の負担ははるかに大きくなった。政府はこのような状況でも忍耐心を持ち、揺らいではならない。トランプ政権を説得して軍事的緊張高揚を防ぎ、北朝鮮を限定的にでも「交流の場」に引き出そうとする努力を止めてはならない。
韓国語原文入力:2017/11/21 18:23