13日、北朝鮮の兵士が板門店(パンムンジョム)共同警備区域(JSA)で、軍事境界線(MDL)を越えて南側に逃走した当時の韓国側の対応に対して、野党と保守マスコミの非難が激しい。自由韓国党は、北朝鮮軍が南に越えてくる北朝鮮軍帰順兵士に向けてAK小銃40発を撃った時、わが軍はなぜ対応射撃をしなかったのかとして、初期対応に問題が多いと批判した。
もちろん、共同警備区域で小銃を携帯したことは停戦協定違反だ。しかし当時の状況を見れば、韓国軍が対応射撃をしなかったことが非難される程に間違った対応ではないと見る。東西800メートル、南北400メートルの板門店共同警備区域は、他の軍事境界線地域とは異なり、国連軍司令部が管轄している。合同参謀ではなく国連軍司令部が作戦指揮権を行使し、韓国軍の交戦規則は適用されない。対応射撃をするには、国連軍司令部の承認を得なければならない。国連軍司令部の交戦規則は、味方に危害を加える状況か、危機高潮の憂慮がないか、などを総合して判断すると定めている。共同警備区域の特殊性を考慮して、対応射撃基準がはるかに厳格であるわけだ。
韓国軍に直接被害がない状態で、北側に向けて応射することは必ずしも最善ではない。そうしたとすれば、どんな事態に発展したかも察し難い。こうした状況を無視して「北朝鮮が銃を撃ったのに、韓国はじっとしているのか」と大声を上げるのは無責任だ。ただし、北朝鮮の兵士が軍事境界線を越えた後にも北朝鮮軍が射撃をしたかについては徹底的に調査し、北朝鮮の停戦協定違反の有無を厳重に問い詰めなければならないだろう。