ドナルド・トランプ米大統領が来月7日、1泊2日の日程で韓国を国賓訪問する。米大統領の国賓訪問は1992年のジョージ・ブッシュ大統領(父)の訪韓以来、25年ぶりのことだ。北朝鮮の核危機など、現在の朝鮮半島の状況が考慮されたものと見られる。トランプ大統領の訪問日程が「日本で2泊3日、韓国で1泊2日」に決まったことについて、韓国政府は滞在期間のバランスを取るため、最後まで尽力したという。外交において形式は時より本質でもある。また、米国の大統領が日本より韓国で1日少なく滞在することが、無視してもいい事案ではないのも事実である。
しかし、韓米間の懸案と朝鮮半島の状況を振り返ってみると、「1泊か2泊か」をめぐる議論は本質からかけ離れたものだ。これを「コリアパッシング」(韓国排除)と主張し、政治攻勢に乗り出した野党の行為も行き過ぎたものと言わざるを得ない。むしろ問題は、トランプ大統領が韓国でどのようなメッセージを投げかけ、トランプ来韓後、韓米関係と朝鮮半島情勢にいかなる変化をもたらすかが、まだ不透明であることにある。
日本は素早くトランプ大統領と北朝鮮拉致被害者の横田めぐみさんの両親との面会を進めるなど、トランプ大統領の訪問を通じて北朝鮮に強硬なメッセージを送ることに力を入れている。日本の安倍晋三首相にとっては対北朝鮮強硬論が国内政治的に有利であるだけでなく、日米軍事協力の強化は宿願である平和憲法の改定と日本の再武装などにつながるきっかけになり得るため、この機会をできるだけ足掛かりにしたい構えだ。
日本とは異なり、韓国は対北朝鮮強硬論にただ同調するわけにはいかない。むしろ、米国大統領が韓国で朝鮮半島の平和の重要性を強調するメッセージを送るようにする方がより重要だ。トランプ大統領の韓国国会での演説について、ホワイトハウスは「国際社会に対北朝鮮圧迫の強化に参加することを促すだろうと」と明らかにし、強硬な基調を維持することを示唆した。日本に続き、韓国でもトランプ大統領特有の荒々しい対北朝鮮強硬発言が続くのは望ましくない。
北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しした息子のブッシュ大統領が2002年に訪韓した際、都羅山(トラサン)駅(ソウルと北朝鮮の新義州を結ぶ京義線鉄道の最北端の駅)を訪問したのは、それ自体で南北和解に対する支持のメッセージを投げかけるものだった。今回のトランプ大統領の訪韓期間中にも「平和」のメッセージを浮き彫りにできるよう、政府の外交・安保ラインはすべての努力を傾けなければならない。