本文に移動

[社説]同性愛軍人の私生活まで処罰する「反人権」軍刑法

登録:2017-05-25 00:28 修正:2017-05-25 07:35
4月21日、ソウル龍山区国防部の前で開かれた第1回「陸軍性的マイノリティ軍人の割り出し中止、『私も逮捕しろ』」集会には、抗議の意思表示で予備軍服を着て現れた人もいる=シンユン・ドンウク記者//ハンギョレ新聞社

 同性軍人と性的関係を持ったという理由で逮捕された同性愛者の将校に有罪が言い渡された。4万人にのぼる市民たちが「無罪釈放」の嘆願書に参加し、メディアもこの問題に大きな関心を示したが、軍事裁判所は結局、懲役6カ月に執行猶予1年の有罪判決を下した。この判決で当事者は「醜行前科者」という烙印を抱えながら生きていかざるを得なくなった。軍事裁判所が古い時代の基準を突きつけて同性愛者の人権を無視した判決を下したことについて深い遺憾の意を表する。

 この事件は、当該軍人の逮捕から判決まで納得しがたいことが綴り合わさっている。当事者のK大尉は部隊指揮官が承認したソウル出張中に逮捕され、転役を7日後に控えて拘束された。軍捜査官は、捜査の過程で羞恥心を誘発する極度に内密な問題を執拗に問いただしたという。K大尉が同性軍人と会った場所は私的な空間だった。性的関係も合意によって行われた。同性愛者でなければ、逮捕されて裁判を受ける理由はなかったと見なければならない。軍人権センターはチャン・ジュンギュ陸軍参謀総長が「同性愛軍人を割り出し、処罰せよ」という指示をした後、このようなことが起きたと疑惑を提起している。陸軍はそのような事はないと否定したが、疑惑は消えない。

 一般的な場合ならば何の問題にもならないことが犯罪になったのは、まったくもって軍刑法条項のためだ。現行の軍刑法92条の6は「肛門性交やその他の醜行を行った者は2年以下の懲役に処される」と規定している。軍隊の中で発生する強姦や強制わいせつは、軍刑法の他の条項によって犯罪行為として処罰する。ところが、92条の6はそのような強制性を問いただすものではなく、特定した性行為の体位を「醜行」と規定して処罰するようにしている。事実上同性愛の割り出しを目的とした条項だ。同性愛自体を犯罪化する規定であることだ。

 国連は2015年、韓国政府にこの条項の廃止を勧告しており、国会でもこの条項を削除するための立法の動きが広がっている。92条の6は国民なら誰でも享受しなければならない憲法上の権利を直接的に侵害する悪法だ。軍隊内の人権蹂躙を法の名で保障する時代錯誤な条項は一日も早くなくすのが正しい。政府と国会が急いで廃止に乗り出すことを望む。さらに、今回の事件の前後に行われた軍隊内の同性愛者割り出しに違法行為がなかったかも取り調べる必要がある。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/796074.html 韓国語原文入力:2017-05-24 21:49
訳M.C(1105字)

関連記事