日本政府が朝鮮半島の有事時に72時間以内に在韓日本人を待避施設に避難させる方案を検討していると毎日新聞が21日報道した。
初めてではない。駐韓日本大使館は1日、在韓日本人を対象に「安全マニュアル」に待避施設情報を追加した。11日には「海外安全ホームページ」に「朝鮮半島情勢に関する情報に注意すること」を注文し、韓国内の日本人学校にも注意要請Eメールを送った。その後も官房長官(12日)、外相(16日)、防衛相(18日)が順番に「有事の際の自国民帰国方案」を論じた。稲田朋美防衛相は「自衛隊が韓国内の日本人を救出することがありうる」とまで話した。読売新聞は一層強めて13日に「日本に押し寄せる(韓国)難民も課題」と報道した。自民党の次期首相候補のひとりである石破茂・元幹事長は9日「ソウルは火の海になるかも知れない」と話した。
20万人の自国民が韓国に居住する米国でも特別な動きは見られないのに、連日大げさに騒ぐ日本政府の態度は、単純に有事の際の備えのためだけとは見られない。「朝鮮半島危機説」を煽り立て、自衛隊の武装強化と敵基地攻撃能力保有世論を育て、安倍晋三政権の国内政治上の危機を乗り越えようとする意図と思われる。4月に安倍内閣の支持率は50%になり、「昭恵スキャンダル」による下落傾向を食い止め反転上昇した。安倍首相が願ったものはこれなのか。隣国の危機説を煽り立て政治的利益を得ようとするのは短見に過ぎず、結局はブーメランとなり日本政府に戻ってくるだろう。