登録 : 2017.04.17 11:52 修正 : 2017.04.18 07:07

 北朝鮮をめぐる情勢が緊迫し、アメリカは軍事力行使の可能性も否定していない。韓国の人々の憂慮は大きいと思う。この機会に日本人も、日本にとっての戦争とは何を意味するか、考えなければならない。

 憲法9条を保ってきた戦後日本について、しばしば平和ボケという批判が行われてきた。しかし、平和ボケしてきたのは、防衛力増強や日米軍事協力に熱心な保守派を含む日本人全体だったのではないか。この点を鋭く突いたのは、政治学者、松下圭一が1981年に書いた「都市型社会と防衛論争」(現在は『戦後政治の歴史と思想』ちくま学芸文庫に収録)という論文であった。当時は、ソ連のアフガン侵攻直後で、日本でも防衛力強化を求める声が強まっていた。松下はそうした風潮に異議を申し立てた。

 20世紀の世界大戦、ヴェトナム戦争などの第2次世界大戦後の地域戦争はすべて農村型社会を舞台にしていた。軍事専門家はこの経験を引きずっており、人口、生産力、経済活動が大都市に密集した都市型社会における戦争の現実的なシナリオについては誰も考えてこなかったと松下は指摘した。そして、日本について、「日本の工業が高度化すればするほど、東京圏が強大化すればするほど、都市型社会の問題が先鋭となる。都市型社会の過熟した日本は、戦争にたえられないモロイ構造になってきた」と述べる。

 この論文が書かれてから30年以上たち、大都市への集中はさらに進み、日本海沿岸には多数の原子力発電所が建設された。北朝鮮の脅威を強調しながら、日本海沿岸の原発を再稼働させようとする政治家の「現実主義」を私は疑う。核弾頭を搭載していなくても、東京や原発がミサイル攻撃を受ければ、日本は壊滅する。日本の安全と国民の生存を考えるときには、この現実から出発しなければならない。

 アメリカは大陸国家であり、北朝鮮から直接攻撃を受ける可能性は今のところないだろう。しかし、北朝鮮と国境を接する韓国のみならず、日本にとって戦争はあり得ないシナリオである。北朝鮮の核開発に日本は反対し続けなければならないと私も考える。北朝鮮を無法国家と非難するのは簡単だが、実際には無法国家が軍事力を行使すれば日本は壊滅的打撃を受ける。国内に広大な米軍基地を抱える日本は、アメリカと北朝鮮の間に戦争が起これば攻撃を受けることになる。アメリカは多少の痛手を被っても、敵国を破壊する力を持っている。日本とアメリカはこの点で立場を全く異にする。朝鮮戦争で大きな苦しみを経験した韓国の人々にとって、戦争は絶対に避けなければならないものだろう。日本は戦争の現実を知らないという点で、韓国の人々と決定的に異なる。

山口二郎・法政大学法学科教授 //ハンギョレ新聞社
 日本国内の「勇ましい」人々の間では、大きな犠牲を払ってでもアメリカとともに無法国家を懲らしめ、破壊しなければならないという議論もあるかもしれない。それこそ、国民的な議論を経て、相当な覚悟を決めなければ取れない選択肢である。国の壊滅を賭してまで、北朝鮮の征伐に参加すべきだとは、私は考えない。

 北朝鮮問題についてあらゆる選択肢を考慮するというアメリカ政府の政策をすぐに支持するといった日本の指導者は、戦争の現実をどこまで考えているのだろう。戦争の現実について、日本人は韓国の人々から教わることが多いと思う。今は軍事ではなく、政治の出番である。

山口二郎・法政大学法学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017-04-16 19:16

原文:http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/790946.html

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